風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

二十三夜
 先日、AmazonのKindle本を見ていると、萩原朔太郎「二十三夜」が0円で出ていた。
 聞いたことがない題名であり、評論集やアフォリズム集なら嫌だな、と思いつつ、0円に惹かれてタブレットにダウンロードした。
 開いてみると、数ページ(字の大小で変わる)の掌編小説だった。
 Kindle本の小説は、今年3月11日の記事、堀江貴文「拝金」以来である。
 詩人の小説は、言葉に凝り過ぎていけない、とされるが、短くもあり朔太郎自身の影もあるので、面白く読んだ。
 筋は、縁日でヤクザ崩れが紳士に絡み、喧嘩だと多くの衆人が集まる話である。力ずくになろうとする所を、紳士の連れの和装娘が止め、紳士は消え去る。追うヤクザ崩れ・芳公は、思いがけず見物衆の反感を買っていて、逆に殴られる。紳士の連れの娘は、芳公とも見知りらしく、身を挺して止める。
  気弱で薄情な紳士(自身の影があるようだ)と、威勢のいい芳公と、気の張った娘と、一幕を成す。
 でも詩人の小説は、読みたくない。詩から小説へ移った作家は多く、詩人と小説家を兼ねた三木卓、清岡卓行もいたけれども。



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 角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、3番めの句集、角川源義「西行の日」を読み了える。
 先の7月26日の記事、松崎鉄之介「鉄線」に次ぐ。
 同・大系に所収の句集として、2016年11月17日の記事、第11巻の第1句集「ロダンの首」に次ぐ。
概要
 原著は、1975年、牧羊社・刊。594句、長めの「あとがき」を付す。
 没後の第5句集で、遺句集と見られがちだが、その後の数10句が遺り、優れているとされる(大系・解説より)。
 娘・真理の17歳での自死や、自身の結核病の入院を経て、句は巧みになったと評される。ただし結核病は抗生物質の薬により治りやすくなり、3ヶ月余で退院した。
感想

 言うまでもなく、戦後に角川源義(かどかわ・げんよし、1917年~1975年)は角川書店を興し、1代で大企業に育てた、英雄である。しかし英雄らしく、社内で、家庭で厳しかったらしい。また漁色家でもあった(Wikipediaより)。約しく暮らしている僕には、マイナス点に思える。
 修羅の生涯で、句作は心の休まる場だったかも知れない。
引用
 入院中の作品ばかりより、5句を引く。
瑠璃やなぎ咲く家出でていつ帰る
日々に見る朝焼ゆやけ波郷の地
露草にかくれ煙草のうまきかな
将棋弟子句弟子をふやし秋ざくら
病者痩せ野良猫ふとり冬日享く

0-56
写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。





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 今月2日の記事、届いた2冊(9)で報せたうち、マンガ・ムック「猫まんが いつでもモフモフ」を読み了える。
 プロ・漫画家、ブロガー、インスタグラマー等としてご活躍の、暁龍さんがブログ「あんことむぎと」で強く推している。
 マガジンハウス、2019年9月5日付け・刊(既刊)。
 暁龍さんをはじめ、14氏の14編を読み了える。
 暁龍さんの「あんこと麦と」(4コマ・マンガ、10編)は、優れた特徴がある。まず数少ないオールカラーであること。背景がしっかり描かれていること(これまでのコマや、商用頒布の、背景を用いているらしい)。2匹の猫を取り上げているので、猫だけで4コマを成す作品があること。苦労を重ねたらしい、優しさが伝わってくる。
 今日マチ子さんの「猫嬢ムーム」がファンシーで、新しい方面だろうか。
 すべて、心がほっこりする作品で、この本を買って良かったと思う。


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