風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。

 福井県俳句作家協会の「年刊句集 第55集」(2017年3月・刊)より、4回目の紹介をする。
 
同・(3)は、今月12日の記事にアップした。
 今回は、92ページより116ページまで、25ページの、49名490句を読み了えた。
 これで福井地区(福井市、吉田郡)が終わり、次は坂井地区(坂井市、あわら市)へ進む。
 華やかでなくとも、地味な句にも滋味はある、とこのごろ気づく。
 以下に3句を引く。
 K・喜代子さんの「六月の花嫁」10句より。
扇風機スイッチオンや猫反応
 I・和加子さんの「花の雲」10句より。
春浅し礎のみの館跡
 T・和子さんの「子どもの句」10句より。
三代の雛預かりし身の重さ
 今回も女性3人の句の抽出となった。それぞれの感慨が伝わって来る。
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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。



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 Amazonに予約注文してあった、綜合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2017年6月号が、昨日(5月14日、日曜日)に届いた。リアル書店で買っていた時期も長いのだが、車で往復1時間(無料駐車場のある店まで)の時間とガソリン代を思うと、宅配は便利である。
 まず表紙が好ましい。図柄は梅雨の晴れ間の虹だろうか、額紫陽花(ガクアジサイ)と、文字も青基調の中に、赤い傘を点じている。
 特集「現代版、本歌取り」は、枕詞と同じく、僕のほとんど使えない技法(たくさんの歌は、記憶していないので)だが、関心はある。
 新連載の「小島ゆかり(歌人)・正木ゆう子(俳人)の往復書簡」も楽しみである。
 綜合歌誌は、これ1種しか取っていない。量(時間的に)と、好みの結果である。


 このブログを読んでもらって、わかるだろうか、僕の読書のストライクゾーンはかなり広い。
 「ストライクゾーン」とは、あるサイトの「好き嫌いの『許容範囲』のことを、近年ではストライクゾーンと呼びます」の言葉が、適切である。
 文学の最短の俳句では、芭蕉、一茶、蕪村から虚子、現代俳句まで読んでいる。前衛的な俳句には、良さのわからない句もある。短歌では、「万葉集」から八代集、戦後短歌グループ、岡井隆、佐佐木幸綱、さらに塚本邦雄の1部、まで読んでおり、最近の新鋭歌人にも関心がある。
 詩では、古代ギリシャ詩(ホメロスは未だだが)、「詩経」(海音寺潮五郎の訳注で)、唐詩の一部、新体詩、朔太郎から戦後詩まで。戦後詩の「荒地」「櫂」グループくらいまではわかるが、僕が戦無詩と呼んでいるそれ以後はわかりにくい。
 小説も文庫本を主にして、たくさん読んできた。20年くらい前か、家の文庫本(既読)を売り払った際、ブック・オフは400冊を引き取ったが、引き取られなかった本も同数くらいあった。自然主義からプルースト(「失われた時を求めて」完読)の心理主義、マルケスのマジック・リアリズムまで。ただしシュールリアリズムは、小説と合わない。ボール判定の本もある。
 ストライクゾーンが広いという事は、ある意味、ブレるという事である。芯が通って、一本道を貫く事が好きな人には、好まれないだろう。あれも良い、これも良い、という傾向になる。落語で、饅頭を2つに割ってどちらが美味しいか、と問うた子供のように、どれも文学は美味しいのだ。
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母の日の妻のために、大輪カーネーション5本を買って飾った。


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 戦前からのモダニズム詩に関心があり、「安西冬衛全詩集」、「北園克衛全詩集」を求め得たが、「春山行夫全詩集」が古本界に見当たらなかった。かなり長い間探して、吟遊社「春山行夫詩集」(1990年・刊)がそれに当たると見定めて、購入した。帯にビニールカバー、表紙にパラフィン紙カバーが、古書店主の手によって掛けられている。
 春山行夫(はるやま・ゆきお、1902年~1994年)の米寿記念出版で、既刊詩集、未刊詩集、詩集未収録作品を収めているが、生前とはいえ「全詩集」と銘打たなかったのは、訳があるかも知れない。
 今回に僕が読んだのは、第1詩集「月の出る町」である。1924年、地上社出版部・刊。27編を収めるが、1935年に発行された詩集「花花」に再録された際、かなりの部分に改訂が加えられた。
 巻頭の「故郷」は4行の詩で、後半は「けふ故郷(ふるさと)は寺のやうに懐かしい/こころは侘びしく鍬のやうに重い」と比喩を用いながらの懐郷で始まる。
 「水上のtable」では、絹、香料、食卓、等の語が出て来て、今の僕たちなら入手可能かもしれないが、1924年(大正13年)にあっては、どんなにか上流社会にのみ有ったものだろう。
 また「白き寝顔」が「雨はれたり土耳古玉の空あらはれたり」と始まるように、古文調の作品も幾らか混じる。
 春山行夫は、この詩集を上梓した翌年(23歳)、名古屋市より上京している。


 福井県俳句作家協会の年刊句集「福井県 第55集」より、3回目の紹介をする。
 
同・(2)は、今月5日の記事にアップした。
 今回は、62ページ~91ページの30ページ、60名の600句を読み了えた。
 年間アンソロジーで1人10句は、妥当であり、県短歌連盟の「福井短歌」で1人5首なのは、少な目だろう。
 文学的才能の偏りという事があって、現在は俳句が盛んだから、文学創作に関心のある人が、多く俳句に偏っている気がする。たとえばスポーツで、サッカーが盛んだと、運動神経の良い若者が野球へ行かない事があった。僕の僻みかも知れない。
 前回、地区別の所属ごとに氏名のアイウエオ順に載ると書いたが、そうではないようだ。所属ごとまでは合っているが、その後の順はわからない。
 レベルが高いというか、僕の好みの句風のグループもある。
 以下に3句を引く。
 M・康子さんの「懸崖の菊」10句より。
さくら草母が覗けば児がさわる
 Y・一子さんの「初茜」10句より。
母の帯締めてみようか初茜
 K・せつさんの「冬瓜」10句より。
難題を引き受けている海鼠かな
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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。





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