風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

IMG_20181128_0001

 結社歌誌「覇王樹」2018年12月号を、ほぼ読み了える。
 
到着は今月2日の記事で報せた。リンクより、過去号の記事へ遡り得る。
概要
 2018年12月1日付け・刊。
 代表・発行人、佐田毅氏。編集人、佐田公子氏。
感想
 36ページの中に、社員の元気が漲っている。通常の歌ページでは、会員・準同人が8首出詠・6首掲載、同人が6首出詠・6首掲載と、同人誌に近い掲載方法にも因るのだろう。
 巻頭の8首抄、爽什6首×10名、師走10首詠×4名、力詠15首×2名、入門の覇王樹集、紅玉集にはそれぞれ1名の特選など、名誉ある欄があり、励みになる。
 またホームページには、今月の選歌1首30名があり、ネットを観る者にはとても励みになる。ホームページは毎月の更新が迅速で、通常ページも覇王樹・史、歌集・紹介など充実している。
 代表・発行人の今号の巻頭言では、今年の全国大会日が台風24号と重なり、参加者は多くなかったようだ。
 来年の大阪での全国大会には、是非参加したい。再来年の100周年記念全国大会は、東京で催されるだろうが、参加したい。僕のひどい地理オンチと方向オンチ、腰の弱りを越えて。



 
このエントリーをはてなブックマークに追加

 角川書店「増補 現代俳句大系」第14巻(1981年・刊)より、11番目の句集、後藤比奈夫「初心」を読み了える。
 先の11月29日の記事、
森田峠・句集「避暑散歩」に次ぐ。
概要
 原著は、1973年、諷詠会・刊。自序、430句、自跋「著者近辺」を収める。
 後藤比奈夫(ごとう・ひなお、1917年~)は、100歳を越えて、今年8月号の俳誌へ出詠している。
 俳人・後藤夜半の長男として生まれながら、俳句を始めたのは35歳と遅かった。「初心」が第1句集である。
 「ホトトギス」系の夜半「諷詠」の主宰を、夜半・死去の1976年に継ぐ。
 能楽関係の親族(人間国宝を含む)の多い、名門の出身と言える。戦後、「ボン電気(株)」を起こすが、俳業が忙しく退社、「波電子工業(株)」を起こし社長となる。
感想
 「クリスマスイヴ好きな人ふたりあり」、「リラ似合ふ人雪柳似合ふ人」の、2句が人騒がせである。俳誌主宰者の御曹司の句だから、会員の心を騒がせただろう。後藤夜半の選を通ったとある(全句が)から、主宰者の父が通すべきでなかった。父子の甘え、甘やかしは、公の場では見せるべきでない。
 写生の道を進んで、新しさもある。心理陰翳を捉えるに敏い。以後の句業に注目すべきだろう。
 いわゆる「長生きも芸の内」である。
引用

 以下に5句を引く。
折れしまま活けてよきもの花太藺
夜の噴井囲み憩へる織娘たち
社是古りぬわれら涼しく勤めをり
種のよく売るる日と苗売るる日と
空の濃くなりゆく速さ夕ざくら
0-24
写真ACより、「乗り物」のイラスト1枚。







このエントリーをはてなブックマークに追加

 思潮社「関根弘詩集」(1968年・刊)の詩集「絵の宿題」より、「カメラ・アイ」の章を読み了える。
 先行する
同・「絵の宿題」の章は、今月7日の記事にアップした。
 これで4章に渉る詩集「絵の宿題」を読み了えた事になる。
概要
 「カメラ・アイ」の章は、9編の散文詩を含む12編より成る。
 「カメラ・アイ」と題されながら、カメラ・アイを感じる作品はなかった。モノクロ写真と、カラー・デジタル写真の、感覚の差だろうか。
感想
 散文詩「花火」は、幼時の花火(両国の川開き)の、年に1度の楽しい思い出を描いて哀切である。しかも「思い出はすでに取片付けられているのだ」と、過去に執着せず、未来を視る決意を見せる。彼は個人的な事を描いた作品で、意外と優れているようだ。社会と大衆を描く詩人、とされながら。
 散文詩「焼跡」では、敗戦後の再建を夢見ながら、焼跡の残る現実を描いて、庶民の日のあたらない生活を示す。
 自由詩「挽歌」では、「名前を盗まれた僕を哀れむのは/僕です。/貧しい男と女の骨を抱いて/どこにも行くまい。」と名文句で見得を切っている。全体を読んでほしい1編である。
 自由詩「兵隊」では、国の再保守化をうたう(彼はレッドパージに遭っている)のだろうか。「この生きかえった兵隊は/やはり兵隊だった//しばらくおとなしかったが/やがて命令をとり戻した。…」と、日本の再軍備化を批判するようだ。
 しかし絵本風な語りなどで、リアリズムとアヴァンギャルドの統一、と称してほしくない。
 事情はあっただろうが、もっと編数を少なくして、大衆に読みやすい詩集にするべきではなかったか。
0-23
写真ACより、「乗り物」のイラスト1枚。




このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ