風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。

 吟遊社「春山行夫詩集」(1990年・刊)の、「「詩と詩論」より」から、1回目の紹介をする。
 先の6月20日の記事、
同・「「青騎士」より」に続く。
  春山行夫は1994年に亡くなっているので、4年前・1990年の吟遊社・版のこの詩集(米寿記念・出版)は、戦後に詩作の少なかった彼にとって、ほぼ全詩集と呼んで良いだろう。
 「詩と詩論」は、春山行夫・編集、厚生閣・刊のモダニズム詩誌(第14冊から「文学」と改題して文学誌となる)で、1928年~1933年、全20冊を刊行した。
 「「詩と詩論」より」は、この詩集(1段組み)で234ページ~310ページと長いので、2回に分け(1)~273ページ、第8冊まで(この詩集では、第14冊目までを納める)を記事アップする。
 「詩と詩論」は当時の、マルキシズム系、アナーキズム系の詩を除く、新しい詩のすべての流れが集まり、1大潮流となった。プロレタリア文学の詩観から独立し、レスプリ・ヌーボー(新詩精神)による詩作と、文化との連帯を目指した。
 社会性遊離の運動は、結局、社会より復讐され、滅びるより無かったのだろう。
 あと274ページ~310ページの37ページだが、無論理性の難物が待っている。
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。




 7月6日のサラダ記念日が過ぎ、七夕が過ぎ、7月11日を迎えようとしています。
 僕の本棚には、「サラダ記念日」が、なぜか4冊ありますが、抜き出して来た帯付き本は、1987年、275版です。
 ベストセラーとなってしばらくして、僕も買いました(流行には危険を感じて、しばらく安全を確かめる性格)。
 第1歌集は240万部売れ、吉本隆明は「文学現象を越え、社会現象だ」と述べていました。
 時はバブル期(拙作「「明るさは滅びの徴し」バブル期のかつてのある日ふと怖れにき」)。
 あの吉本隆明が、「このあと、われわれは死後の世界へ入るのだ」と(僕の記憶に間違いなければ)叫んで(著書で)いた時代です。
 「サラダ記念日」掉尾の歌は、「愛された記憶はどこか透明でいつでも一人いつだって一人」です。
 第2歌集は40万部だったそうで、200万人はどこへ行ったのでしょうね。
 俵万智はその後、不倫、シングルマザー、仙台移住、沖縄へ避難、宮崎県移住と、私生活では花盛りでは無かったようです。
 ただし俵万智の評価は高く、ファンも多いようです。
 先の7月6日には、サラダ記念日30周年の集いが執り行われた、とか聞いております。文学誌の記念号も発行されました。
 そして僕は、短歌を詠んでいます。(タブレットより、起稿しました)。
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。



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 角川書店「増補 現代俳句大系」第12巻(1982年・刊、写真は函の表)より、初めの句集、米沢吾亦紅「童顔」を読み了える。
 同・第11巻のしまいの句集、
久保田万太郎「流寓抄」に継ぐ。
 原著は、1959年、近藤書店・刊。水原秋桜子・序、447句、後記を収める。
 米沢吾亦紅(よねざわ・われもこう、1901年~1986年)は、大学卒業後、造船の世界に入り、のち名村造船所の重役となる。
 1931年、秋桜子「馬酔木」の虚子門よりの独立に従った。1956年「馬酔木燕巣会」結成、1958年「燕巣」創刊・主宰した。「人事句の名手、職場俳句の草分けとして活躍した」(三省堂「現代俳句大事典」2005年・刊、に拠る)とされる。
 句集は「寸樹抄(1945年以前)」、「浪々抄(1946年~1951年)」、「明日香抄(1952年~1958年)」の3章を立てるが、戦後の句のみより、以下に5句を引く。
空稲架に童乗りしが解きはじむ
寒釣の鮠がのこせし手のあぶら
山椒の一葉の味も山疲れ
若き水夫巷の暦提げ帰る
槻芽吹く子等にひゞかぬ氏素性



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 「日本の古本屋」の某店より、生方たつゑ・歌集「冬の虹」が届いた。
 1985年、新星書房・刊。
 7月6日の記事
「ひとりの手紙」に続く、歌集購入である。
 角川書店「生方たつゑ全歌集」(生前版)の後に、この歌集のある事を知り、某サイトで捜したところ、1点だけ5万円の値で出ていた。とても買えないので、「日本の古本屋」で捜したところ、3800円+送料300円で出ていて、代金前払い(郵便振替)で購入した。
 よく考えれば割高な本だが、5万円のショックがあって、つい買ってしまった。
 この2冊以外にも、「全歌集」以後の歌集はあるようだが、今はここまでにして置きたい。



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 入手を6月22日の記事で報せた、季刊同人歌誌「COCOON」Issue04を、ほぼ読み了える。2017年6月・刊。77ページ。
 
同・Issue03の紹介は、今年4月1日の記事にアップした。
 「COCOON」は、結社「コスモス短歌会」(僕が先だってまで所属していた)内の、若手(1965年以降生まれに限る)の優駿が集まった、季刊同人歌誌である。
 Issue04の巻頭24首は、H・みささんの「ダイヤモンド」と、I・佑太さんの「Kの謎」である。
 「ダイヤモンド」24首は、息子さんの高校野球・甲子園予選を詠んで、感動的である。時期的に、昨年より温めた連作か。以下に2首を引く。
二リットルの弁当箱を埋めるため飯炊き肉を焼く煮る揚げる
歓声というより悲鳴 追い上げてあと一点で同点となる
 「Kの謎」は、漱石とカフカの作品に登場するKを押し出しながら、世代感を感じさせる詠みである。
 S・ちひろさんの「ひとりしりとり」12首が、短歌でしりとりをしつつ、シュールな詠みぶりで特異である。1首を引く。
「紅差指って偶には呼んで欲しいわね」薬指嬢りんとして言う
 育児の歌を読めるのも楽しみで、K・絢さんの「ハッカ油」12首には、次の歌がある
投げスマホ(スマホを投げる)、食べスマホ(スマホを食べる)嬰児(みどりご)の技
 今さら気づいたのだけれど、見開き2ページに12首掲載で、前身の「棧橋」(僕が一時在籍した)の1ページ12首と比べて、ずいぶん寛いでいる。
 バックナンバーは「COCOON」のホームページで読めるので、そちらからどうぞ。



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