風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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 短歌新聞社「岡部文夫全歌集」(2008年・刊)より、この全歌集で8番目、「風」を読み了える。
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歌集「玄冬」は、先の3月4日の記事にアップした。
概要
 原著は、1948年、高嶺書房・刊。428首、著者「巻末小記」を収める。
 巻末小記に、師・橋本徳壽の励ましや、出版に丸山忠治という人の援助があったと記されている。
 壮んに活動していると、援ける人も現れるのだろう。
 また交友のあった棟方志功の装画を得ている。
感想
 40歳、壮年に至って、苦労をかけた妻を憐れむ歌が多い。
 また良心に痛む事もあるらしく、それを詠う歌もある。
 それは「ふかぶかとしたる陥穽をつくりつつ彼が陥ちるのを傍観しをり」という、生き方にも因るのだろう。
引用
 以下に7首を引く。
雪の夜の蠟のまたたき寒けきに何編む妻よともに生きたし
ゆたかなる雪美しき夜の縁に吾が妻が乾す潤鰯(うるめ)ひとつひとつ
煮ゆる小豆小指(をゆび)の腹にためしゐる妻よ五人目の児をみごもるか
少年は炎を浴びて働けり貧しき母に生れたるゆゑに(銑鉄)
ぎりぎりに生くるいのちか朝早も暗き焦燥がこころを嚙むも
冬青(もち)の葉のひとつひとつに溜る光(ひ)のにぎやかに寂し照りにつつあり
午後となる冬日にやさし吾が妻の鋏にむすぶ小さき鈴は
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写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。





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 4月2日の記事、「庭の椿3種」に続いて、庭の春の花を紹介する。
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 ピンク色の木蓮の花である。白木蓮に次ぐ。
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 赤木蓮の花である。
 上の木蓮2種は、大木になって花をたくさん咲かせているが、撮影ポイントがなくて、全体を撮れなかった。

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 ピンクの千重咲き椿である。品種不明。
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 品種名「緋乙女椿」である。誠文堂新光社の「日本ツバキ・サザンカ名鑑」に出ていないので、他の名の椿の俗名かも知れない。
 この椿は、ここ数年咲かなかったが、今年は数輪が咲いた。昨年の肥料(花・実用)が良かったのかも知れない。

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 原種の藪椿である。充分美しい。




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 先の3月30日の記事「届いた4冊」で到着を報せた内、文学総誌「縄文」第2号を、ほぼ読み了える。
 
同・創刊号の感想は、昨年10月4日の記事にアップした。
概要
 2018年3月31日、「縄文の会」(代表・前川幸雄)・刊。B5判、2段組み、28ページ。執筆者6名。
感想
<地域研究>2編は、教育の右傾化に従っているようで、ここでは評を避ける。
<漢詩>
 Y・絹江さんの「訪墨西哥古代都市遺跡」(メキシコ古代都市遺跡を訪ぬ)は、5言絶句。日本と、メキシコと、中国の文化が、集合するようだ。モノクロ写真を添える。
 M・昌人さんの「岡田啓介」は、7言絶句。郷土・出身の首相・岡田啓介を僕はよく知らないが、1ページ上段で紹介し、下段に漢詩と通釈文と語釈を載せている。
<一般研究>
 Y・信保さんの「ナマズの謎を追う(1)」は、彼が小学3年生以来の謎(ナマズを食べない家系がある事)を追って、中学~大学に入って解明を続け、「阿蘇の神」の使いとして、氏子がナマズを食べない習俗がある事を突き止める。
 次号で更に論を展開する、という事で期待される。
 前川幸雄さんの「「三好達治展」を見て思ったこと」は、12ページ余に渉る。
 漢詩の翻訳がある三好達治は、西欧詩ではヴェルレーヌの詩を好んだ所から入り、漢詩、西欧詩で隔句交互韻(脚韻)を採っている事を、原文、邦訳、解説を掲げて示している。
 了いに、それらの邦訳では韻を訳出する事が殆んど不可能だと述べている。



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