風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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 岩波文庫のヒポクラテス「古い医術について 他八篇」より、6回めの紹介をする。
 同(5)は、先の3月29日の記事にアップした。


 今回は、「流行病 第1巻」を読んだ。26節の概説と、14の症例を含む。
 紀元前4百年の医学書とはいえ、「文利」「焼熱(カウソス)」「煮熟」等の不明の語、「卒中」を流行病とする誤り、などが見られる。
 「14の症例」でも、詳細な観察はなされるが、手当ての記述はほとんどない。これでは、薬草をあさった漢方医学に劣るのではないかと思われる。
 理念としては、「医の技術には三つの要素がある。すなわち病気、病人、および医者。医者は技術の助手である。病人は医者と協力して病気に抵抗すべきものである。」と、とても立派なのだけれども。

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写真ACより、「ビジネス」のイラスト1枚。


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 莟で買った牡丹「越の舞姫」が花咲きましたので、Instagramより転載します。
 2つあった莟のうち、もう1つも咲きました。


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 三浦哲郎の長編小説「素顔」(講談社文庫、1980年・刊、346ページ)を読み了える。
 三浦哲郎の小説を読むのは、今年1月24日に記事アップした、「夜の哀しみ」(上下巻)以来である。


三浦哲郎「素顔」
 「素顔」は1度、読んだ事がある気がしたが、このブログでも、前のブログ「サスケの本棚」でも検索に引っ掛からないので、初めてだろう。冒頭部を何度も読んで、記憶に残ったのかも知れない。
 長編小説といっても、連作短編集に似て、12章より成っている。作家の馬淵、妻の菊枝、長女の珠子、次女の志穂、3女の七重、ブルドッグのカポネ、の1家に湧く騒動(いずれもハッピーエンドでおわる)を描く。長女が痴漢に遭いそうになったり、馬淵に助力を得たい文学青年に家の周りを徘徊されたり、郷里の同級生が亡くなって弔辞を読んだり、様々な事件が現れる。
 しかしこの中にも書かれているが、作家の2人の姉の自死、2人の兄の失踪は、背景にあり、それらの小事件が解決されてみれば、家族は(郷里の母を含め)平穏で幸福な生活と見える。
 三浦哲郎が最後まで、原稿用紙に万年筆で執筆したのかと思うと、僕にも感慨がある。


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