風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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 大山秀一「これだけは知っておきたい マーケティングの基本と常識 改訂版」(フォレスト出版、2016年・刊)を読み了える。
 先の7月7日の記事、
「なぜかマーケティング論」の完了形である。
 初めてのマーケティング論で、入門書としては、良い本だろう。2003年・出版の本に、加筆・修正を加えたものであり、デジタル・マーケティングには少し触れたのみのように思えるけれども。
 この本の読書の目的は、ブログのアクセス数アップに繋がるヒントはないか、という事である。ヒントが無かった訳ではない。
 経営戦略は(事業の目的➡事業の目標➡マーケティング目標➡マーケティング戦略)と進む事、ターゲットを絞る事、等である。
 ただしブログは、書く場合も読む場合も無料であり、読者が支払うのは時間と注意力だけである。
 数多いブログの中から、なんらかの経路で自分のブログを読んでもらい、リピーターになってもらうのは、易しい事ではない。
 各ブログの解説本、成功ブロガーのブログ論、マーケティング論などを読み、目標に近づければ良いのだけれど。


 
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 7月30日(第5日曜日)の朝9時半に、メンバー3人がある喫茶店の1隅に集まり、短歌研究会B第17回を持った。
 
同・第16回は、今月1日の記事にアップした。
 研究会の前に、少し早く来た僕は、かき氷のレモンを食べていた。やって来た2人は、アイス菓子とアイスコーヒーを摂った。歌誌の貸し借り、返却をする。
 研究会Bは、岩波文庫「宮柊二歌集」(宮英子・高野公彦・編)の、読み込みである。
 前回に続き、歌集「晩夏」の「砂光る」の章(86ページ)の初めより。
 1首目の「重ねこし両手(もろて)を解きて椅子を立つ判決放送の終りたるゆゑ」の初句、なぜ「重ねゐし」ではないのかと、Tさんが問う。(「判決放送」は、1948年の「極東軍事裁判所」のA級戦犯への判決である)。もっともな問いであるけれど、時間が長く、作者の思い入れが強かったのだろう。
 次の「廿五名の運命をききし日の夕べ暫く静かにひとり居りたし」の下句は、他人とは違う感慨があり、それに耐えている思い、と僕は読んだ。物思いを整理するため、という意見があった。
 「砂光る」の初めは、思いをはっきり言う事が憚られるため、「回り持って言う」点があると、Mさんは述べた。
 「をさな子二人」の節では、「吸殻を灰にうづめぬ平(なら)されて」の歌は、判決放送より平静を取り戻したかに思える。
 「するどき音」の章では、「禱るがに秘めて耐へこし一つごと妻居らぬ部屋に座りてゐたり」の秘め事は、従軍に関わる事、大事な事だろう、と推測した。
 「わが胸に住む兇暴の鴉らが西に東に漂泊(さまよ)ひて鳴く」、「翼(はね)搏ちて荒寥と空に鳴きあぐるまがつ鳥鴉を胸ふかく飼ふ」の2首に、他のメンバー2人が共感を示した。
 この章を了え(89ページ)、10時半過ぎながら、研究会を仕舞った。次の研究会の日程を決め、散会した。
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。


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 青磁社「永田和宏作品集 Ⅰ」(2017年5月・刊)より、第2歌集「黄金分割」を読み了える。
 今月26日の記事、
第1歌集「メビウスの地平」に次ぐ。1977年10月、沖積舎・刊。
 「黄金分割」とは、2:√5+1に分割する(ほぼ1対1、618)事を指し、長方形の縦と横との関係など安定した美感を与える比とされる(電子辞書版広辞苑第6版より)。
 2子(長男・淳、長女・紅)を得て、新婚の性愛が薄れたか「胸の首夏・心の晩夏こもごもに愛の終りを推り合いつつ」の歌がある。無給の研修員(妻と子二人)ながら、研究、塾講師、作品・評論の執筆と、「この時期から数年間がもっともよく働いた時期かもしれない。」と年譜で述べる。
 また歌集出版ととほぼ同時期に、評論「問と答の合わせ鏡」を「短歌」に発表して、有名な「合わせ鏡理論」を始める。
 「黄金分割」の巻末に、4章からなる連作「首夏物語」があり、弟殺しを主な主題とする。しかし年譜に拠れば、彼に弟は居ず、自身の少年性を殺すテーマがあったかも知れない。また4歳で母と死別し、継母に妹が生まれており、複雑な想いがあったのかも知れない。
 以下に7首を引く。
窓に近き一樹が闇を揉みいたりもまれてはるか星も揺らぎつ
かなしみが夕映えのごとふさふさと身に相応(ふさ)うまで誘われてゆけ
酔うためにのみ飲むごとき夜幾夜、子あり妻ありゆきずりのごと
わがうちにのみ母として居給うか無蓋貨車とおく野をよぎりゆく
夜の窓に撓みて水のごとき樹々 ことばやさしくわが拒まれぬ
身の内に滅びしものは告げざるを肉はきりきり風に吹かるる
向日葵を焚けば地平は昏みつつ故なく憎まれ来し少年期
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。




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