風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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 結社歌誌「コスモス」2017年3月号より、「その一集」特選欄を読みおえる。
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同「月集シリウス」読了は、先の2月27日の記事にアップした。
 「その一集」会員は多く、昨年12月18日の記事で、約750名と算出している。総会員・約1900名の4割をしめる。
 「「コスモス」会員の吹き溜まり」などと揶揄せず、新会員増と共に、方策はなかったのか。
 「その一集」特選を2年間で8回以上受けるか、結社内外の短歌賞を受ければ、次の「月集シリウス」へ進める。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。Y・佐保さんの「細き引力」5首より。
はちみつを瓶に入れ替へするときに地球の細き引力の見ゆ
 再発見の歌であり、「細き引力」の表現が超絶的である。
梅9
Pixabayより、梅の1枚。


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 角川書店「生方たつゑ全歌集」(1987年再版)より、第8歌集「火の系譜」を読みおえる。
 先の第7歌集
「白い風の中で」は、今月21日の記事にアップした。
 原著は、1960年、白玉書房・刊。
 井上靖の帯文、佐藤春夫の序文、小杉放庵の絵、後記「をはりに」を併載する。
 1967年、1975年と、井上靖ら文学者が発起人となり、「生方たつゑを励ます会」が持たれており、歌壇以外の文学者にも見守られていたのだろう。
 集末に、2章にわたる連作「火の系譜」を置き、能に取材した女性の執念を描く。
 暗喩に由る心理描写に長けるが、「炭化せる樹骸がくさにかげすればうつむく吾は愛もつごとし」という、失敗と思われる作品もある。
 彼女はアララギ系から出発して、戦後短歌運動、文学の趨勢、社会の推移の中に、新しい短歌を建てた。
 以下に7首を引く。
炎塵のにほひかわける日ぐれにてかの忘失のごとき鳥とぶ
わがうちに罅(ひび)渇きゐる干潟ありなにを育(はぐく)みてきしこともなく
亡命のごとひとりなり樹骸枝(じゆがいし)の手がたに垂れし火山帯lきて
霜つちの毳(けば)だつ日かげふみゆきて冬のひびきよするどき君ら
離別歌の註かき終へて女なるこの偶然に傷つきてゐる
明日に賭けてゆかむ構図か溶接の炎(ひ)にちかづきし顔硬きなり
あはれまれたくなき愛とおもひつめゆけば拮抗の硬き夜なり
(泥眼(葵上))
梅8
Pixabayより、梅の1枚。




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 結社歌誌「コスモス」2017年3月号より、「月集シリウス」欄を読みおえる。
 今月24日の記事で紹介した、
同「月集スバル」読了に次ぐ。
 「月集シリウス」には、「特別作品」欄があり、12名の各5首が載る。この欄は、他の作品欄が1ページ2段なのに対し、1ページ1段という、特別の待遇を受けている。通常欄は、4首or5首掲載で、割合は半々くらいである(精確な選歌率を、僕は知らない)。
 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。K・静子さんの5首より。
十分に生きて曾孫もさづかるを平均寿命にいまだ及ばず
 彼女は「コスモス」の女性歌人3代の頭なので、曾孫さん誕生の経緯は、僕も少し知っている。
 女性として、曾孫を授かり、健康であれば、順調な生と呼ぶべきだろう。平均余命は更に先だから、長生きされたい。
 僕の母も曾孫(僕の孫ではない)を授かり、とても可愛がっていたが、病に倒れて亡くなった。
梅7
Pixabayより、白梅の1枚。


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