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 砂子屋書房・現代短歌文庫127「続 森岡貞香歌集」収載の3歌集全編より、2番めの第7番歌集「夏至」を読みおえる。
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「黛樹」(たいじゅ)は、今月10日の記事にアップした。
 「夏至」は、2000年、砂子屋書房・刊。翌2001年、同・歌集によって斎藤茂吉短歌文学賞・受賞。
 あとがきによると、1985年~1993年の作品を、やや後に刊行している。森岡貞香(1916年~2009年)の、ほぼ69歳~76歳の作品であり、題名は女流歌人の盛りを表わすのだろうか。
 280万部のベストセラーとなった俵万智「サラダ記念日」の発行が、1987年である。
 そのせいかどうか、僕が選びたくなる短歌は、歌集の初め部分に多かった。
 戦地より帰還して半年くらいで亡くなった夫とその後の回想の歌、忌日、墓参の率直な歌がある。



 7首を以下に引く。
夜の風の其処にて消えぬ日比谷なる濠のみづのうへなる終り
そら走り水鳥行きぬ逝く春に忌を重ねつつなに嗟くにか
飽きもせずうからら膾の菊を食ぶ もつてのほかの淡きむらさき
うめき嘆くこゑ発ししは若かりきとわれのみならじ今に恋しく
(きそ)ひと夜ゆたんぽ抱けば追熟といふべくわれのやはらかにある
生きのこりといふ言の葉のまとはりて父にくるしき晩年ありき
汝酔ひてこゑのひびくに応ふるといつのむかしの楽しさにゐる
   (なお引用の1部、正字を新漢字に替えた)。