青土社「吉野弘全詩集 増補新版」(2015年2刷)より、第2詩集「幻・方法」を読みおえる。
 
第1詩集「消息」は、先の1月31日付け記事にアップした。
 原著は、1959年、飯塚書店・刊、全38編。「消息」からの再録16編と、意に染まぬ1編は、この全詩集版では外された。
 2編めの「何を作った」では、「資本家」「労働者」「商品」と、マルクス主義公式をファンタジック化したに過ぎない。ただし労働組合活動の過労で倒れ、胸部手術を受けた、とあるから机上の空論ではない。
 「幻・方法」「幻・恩恵」は、宗教・国家の原初のイメージのようだ。「幻・方法」では「これは明らかに/幻に対する挑戦の方法をも/教えるものだ」と書きながら、その方法は明らかではない。
 「星」では、「サラリーマンの一人は/職場で/心を/無用な心を/昼の星のようにかくして/一日を耐える」と、組織の中で個人が人間性を保つ型を示している。
 有名な「夕焼け」は、名作である。僕が半世紀前の高校文芸部員時代、ガリ版に刷って読書会の資料にした思い出がある(その文化祭の読書会は、見事な失敗に終わったけれど)。優しさは弱さではなく、怒りを持ち得る事を示した。
033
写真ACより、チョコレートの1枚。多くの男性の意を表して。