青土社「吉野弘全詩集 増補新版」(2015年2刷)より、第3詩集「10ワットの太陽」を読みおえる。
 
第2詩集「幻・方法」の感想は、今月10日付け記事にアップした。
 原著は、1964年(詩人38歳)、詩画集として、思潮社・刊。
 巻頭の「火の子」は、1964年に発表され、元始太陽信仰のようである。60年安保を潜っての心境だろうか。
 2編めの「乳房に関する一章」は、西東三鬼の俳句「おそるべき君等の乳房夏来る」(1948年・刊・句集「夜の桃」収載)の敷衍に過ぎない。意識的だったか、無意識だったか、判らない。
 「仕事」は、定年で退職した男性が、次の仕事(小さな町工場)を見つけて若返るが、詩人は不満げである。仕事は単なる悪ではなく、能力に応じて働ければ良い、と僕は考える。
 「研究される」は、「僕らは多分/ひそかに/十分に/研究されている」と結ぶ。市場調査や、最近のビッグデータ・プラチナデータまで、人々の心理・行動様式は研究されている。
 「歌」では、「人間の歌を聞いて/最も慰められるのは無だ/…無は/死を欲しない/…歌の杜絶/それが死だ/…」と、無と死に関わらせて、詩人の意志を表わそうとする。
 詩画集として、全17編を収める。
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写真ACより、チェック柄の1枚。