角川書店「増補 現代俳句大系」(全15巻)の第11巻(1982年・刊)より、11番目の句集、岸田稚魚「負け犬」を読み了える。
 先行する、
富安風生「古稀春風」は、先の3月15日の記事にアップした。
 原著は、1957年、近藤書店・刊。石田波郷・序、568句、著者・後記を収める。
 岸田稚魚(きしだ・ちぎょ、1918年~1988年)は、石田波郷の「鶴」に投句、1968年「塔の会」結成、1977年・俳誌「琅玕」創刊・主宰。
 若くして結核に苦しみ、結婚、子を成した。旅行吟が賞賛されたけれども、僕は賛同しない。
 句境は句集のたびに深化したが、一貫して感覚的な「細み」の作風とされる。
 以下に5句を引く。
かげろふは焦土ばかりや西行忌
雨風や瓦礫に生(あ)るる蝸牛
隙間風驚き合ひて棲みつかな(娶り滝野川に移る)
春愁や身籠りの腹美しき
入学の日の雀らよ妻と謝す
チューリップ4
Pixabayより、チューリップの1枚。