青土社「吉野弘全詩集」(2015年2刷)より、第8詩集「陽を浴びて」を紹介する。
 第7詩集
「叙景」は、先の3月26日の記事にアップした。
 原著は、1983年、青土社・刊。7章に30編を収める。
 第1章の「一夜」には、次のような連がある。「…//――つまらん/顔を上げて、著者が呻いた。…//著者は己の無能を罵倒しそうになりかけて/それができなかった/守護霊が押しとどめていたのだ」。
 第2章の2編は、電車のホームでの2景である。かつての「夕焼け」を思わせる。
 第3章4編は、前詩集「叙景」で充分でなかった、叙景の詩の展開だろう。
 第5章にもある、「漢字喜遊曲」のシリーズを、僕は好まない。字面遊びを好まないから。
 第6章は、電車での思いや、娘たちに仮託して、幸せへの望みを描く。「秋の」以下の6編は、叙景詩の完成であろう。
 「秋の」は、次のように始まる。「秋の方向は/どちら?//答のように/枯葉が散る//…」。
 第7章は「スケッチ」1編のみで、鼻を空に差しこんだような黒い犬が、詩人の姿を思わせる。

チューリップ5
Pixabayより、チューリップの1枚。