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 4月11日の記事「届いた3冊」で報せた内、詩誌「水脈(すいみゃく)」59号を読み了える。
 N・としこさんの「急がなくとも」よりピックアップすると、「そんなに急がなくとも/…//まだ 間に合う/たっぷりと時間がある」と続く。僕は残り月日が少ないかのように、気が急いているので、不思議な心境であある。
 S・周一さんの4編は、行末を揃える「夢を聴く」「泰澄大師の伝言」2編など、自在に描いている。
 N・千代子さんの「なくてはならぬもの」中の「闘うべき敵は/外にも内にもいるわけだ」の2行が、心に刺さる。
 A・比佐恵さんの「幸福度ランキング」は、幸福度ランキング1位の福井県で、息子夫婦が働き、孫たちも働き出したのに、「五十代で亡くした連れ合いの/行方不明の会話を探しに」町の温泉へ出掛ける、淋しいおばあちゃんを描く。
 フィクションの(しょせん作り物の)つまらなさを感じるこの頃、俳歌や生活詩の私性がたのもしい。
 次号は、60号記念号という事で、期待して待たれる。