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 村上春樹の短編小説2編を収めた、新潮社「パン屋を襲う」を読み了える。
 本の到着は、今月11日の記事、
「届いた3冊」で報せた。
 直近で読んだ村上春樹の小説は、先の3月5日の記事にアップした
「騎士団長殺し 第2部」である。
 「パン屋を襲う」(2013年・刊)には、1989年「早稲田文学」に発表した「パン屋襲撃」を改稿した「パン屋を襲う」と、1985年「マリ・クレール」に発表した「パン屋再襲撃」を改稿した「再びパン屋を襲う」の2編を、カット・メンシックのイラストを添えて収める。
 「パン屋再襲撃」は文庫本が手許にあるかと思ったが、捜すと無かった。
 「パン屋を襲う」では、腹を空かせた「我々」が包丁を持って、パン屋に出掛けるが、パン屋の主人が好きなワグナーを聴くならパンは好きなだけ食べさせる、と提案して「僕」と「相棒」は従う。
 「再びパン屋を襲う」では、結婚してしばらくの「僕」が妻に、「パン屋を襲う」の話を語り、ひどい空腹はパン屋の呪いだから再びパン屋を襲うべきだと妻が主張し、二人は散弾銃を持ってマクドナルドを襲う。
 ここで語られているのは、ヘルベルト・マルクーゼが1965年の論文で書いた、「抑圧的寛容」(1960年代末には流行語となったと記憶する。僕はその本を読んでいない)に屈してはいけない、という生活者の感覚だろう。
 支配者たちの自らのための寛容に、屈してはいけない、あくまで反するべきだ、というような。
 読んでいたと思っていた、「再びパン屋を襲う」の方が、新鮮だった。