青土社「吉野弘全詩集」(2015年2刷)より、詩集「北象」「自然渋滞」を読み了える。
 先行する詩集
「陽を浴びて」は、今月9日の記事にアッした。
 「北象」は、銅版画と対で10編を収め、1985年、「アトリエ・楡」刊、限定50部。内7編を既刊詩集より再録し、1編を「自然渋滞」に再録したので、この全詩集・版では2編のみとなっている。自然の擬人化がなされる。
 「自然渋滞」は、1989年、花神社・刊。3章に分けて、37編を収める。
 第Ⅰ章の「少し前まで」、「風流譚」、「竹」、「鴨」等は、自然を擬人化して、また自分と比べて、機智を効かせている。「紹介」は、自身のお孫さんの紹介らしく、「お通じ、あります/よく眠ります/夜泣き、しません/寝起き、ご機嫌です」と爺ばかぶりを発揮している。
 「雨飾山(あまかざりやま)」以降の4編は、以前からの叙景詩の続きだろう。芭蕉の言葉とされる「名人は危うきに遊ぶ」の域に達していると、僕は思う。
 第Ⅱ章は、僕の嫌いな「漢字喜遊曲」系統の詩が並ぶ。
 第Ⅲ章の「冷蔵庫に」、「Candle's Scandal」は、叙景詩で得た手法で、家具を擬人化した。最後の「最も鈍い者が」は、「言葉の息遣いに最も鈍い者が/詩歌の道を朗らかに怖さ知らずで歩んできた/と思う日//…」と始まり、「言葉の道に行き昏れた者」の嘆きを綴る。
 「あとがき」に拠ると、第10詩集とされる。
チューリップ7
Pixabayより、チューリップの1枚。