吟遊社「春山行夫詩集」(1990年・刊)の第2章「詩集未収録作品」より、初めの「「青騎士(せいきし)」より」を紹介する。
 先行する第5詩集
「鳥類学」は、今月1日の記事にアップした。
 「青騎士」は、1922年9月より、春山行夫の編集で、名古屋より不定期に15冊刊行された詩誌である(「詩集」解題に拠る)。
 他の詩集(未刊詩集「水の黄昏」を含む)に収められた詩編を除く、7編の初期の詩がここに収められた。
 冒頭の「青い花火」など、シュールなイメージの、物語風作品がある。詩人・立原道造(1914年~1939年)の、数多い物語に先行するのだろうか。
 「憂鬱と黄昏を吹く私の容貌」では、「このまゝ、灰色の願望(のぞみ)の中に額を埋めて嘆く私の花辧であつたら、/凋落(おちい)るまへに 私は告げなければならない/(そこには もう、無言の黒い服の男が 待つてゐるのではないか)/…」等の、優れた詩句がある。
 「墓参の正午(ひるどき)」では、「あゝ 片手には死 片手には薔薇/剪られて 日晩れの 私の生命の一年の日暦も いづくかに撒かれ/…」と、詩に生死を賭けた作者の思いもあったのだろう。
0-11
写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。