角川書店「増補 現代俳句大系」第12巻(1982年・刊)より、3番めの句集、萩原麦草「麦嵐」を読み了える。
 先の7月24日の記事、
岩田昌寿「地の塩」に継ぐ。
 原著は、1959年、竹頭社・刊。佐野青陽人・序、石田波郷・序、俳句遍歴(年譜)、後記を付す。
 萩原麦草(はぎわら・ばくそう、1894年~1965年)は、渡辺水巴に師事、主宰する「曲水」に入会、主要同人となる。戦後、伊豆に帰農、1953年、俳誌「壁」を創刊・主宰。
 「野人・麦草」「田園作品の第一人者」と呼ばれた。
 65歳頃の第1句集であり、1909年(明治42年)~1958年(昭和33年)の、半世紀に渉る句集であって、句数は明示していないが、かなり多い。
 土地にあって、旅にあって、庶民の姿を、暖かく捉えている。
 没後、句集「枯山仏」がある。
 戦後の句より、以下に5句を引く。
百姓はいくさに敗けてキャベツ剪り
豆を煮る豆殻を焚く十三夜
六月や脱兎の耳のやわらかさ
浜の娘は鰯を食べて羽根つけり
成人の夜を家継がぬ子が泊る
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。