河出書房「ドストエーフスキイ全集」(米川正夫・個人全訳)第2巻(1956年11月・刊)より、初めの短編小説「プロハルチン氏」を読み了える。
 先の6月24日の記事で紹介した、同・第1巻の
「ネートチカ・ネズヴァーノヴァ」に継ぐ。
 貧しい下級官吏・プロハルチンが、「役所が閉鎖される」という、冗談を信じて悩み、床に就く。同じ下宿の下宿人やかみさんに騒ぎ立てられたあげく、亡くなってしまう。
 下宿人たちが、彼のへそくりを引きずり出すと、2,497ルーブリ50コペイカあった、という落ちが付く。下宿代は月5ルーブリとされているから、その多額さが知れる。
 小心な官吏が、真面目に節約し、酒も博打も関わらないで中年まで生きて来て、たちの悪い冗談に惑わされて、狂気の果てに亡くなってしまう、喜劇立てじみた悲劇である。
 ドストエフスキーが、「分身」を発表した後、幾多の中短編を書いた、その第1作である。ドストエフスキーはその手紙で、「プロハルチン氏は大変評判がいい」と報じている(巻末・解説より)。
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。