風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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2017年05月

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 廊下を通ると、裏庭のサツキの花が見えたので、コンデジを持って、外へ出る。
 サツキといっても、園芸種ではなく、庭木用の普通種である。それでも花は嬉しい。
 この家を父が建てた時に植えたもので(他にも2、3ヶ所ある)、40年近くを経ている。
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 その外へ出た時、花ザクロの花に気づいた。
 八重咲きで、基本的に実は生らない。稀に小さい、食用にならない実を付ける。
 上はズームアップ、下は花木のほぼ全体である。元気に咲いている。




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 角川書店「生方たつゑ全歌集」(1987年・再版)より、歌集「紋章の詩」を読み了える。
 先行する歌集
「花鈿」は、今月24日の記事にアップした。
 歌集「紋章の詩(うた)」は、1972年、短歌研究社・刊。
 群馬県沼田市に残された、築380年以上の旧家が、国指定重要文化財となり、移築を待つ時に、旧家を継いだ苦しみを救済するべく詠じられている。
 また栃木県・那須への旅、群馬県・谷川岳への川端康成に従っての旅と共に、ハワイ、イギリス・スコットランドへの旅の、旅行詠の大作がある。
 ただしプロ歌人にして、旅行詠は難物のようだ。
 この歌集でも、抽象語や比喩を多く用いて、詠まれている。
 以下に7首を引く。
意地張りて生ききし傷の疼く日よもろき私にふれてくれるな
支へかたき家の重味か病みがちに老いゆく夫のかたへにをれば
くれなゐの椿が冬も咲くみちか嘘のやうなるわたくしの冬
紋章の拓本をとる墨選ぶ家の終末になしうるひとつ
腐蝕せぬものらはむしろ淋しきか古りてかけらとなりし陶片
心絞りくるものもなし熔火帯ゆきて刺青(しせい)のごとき羊歯群(ハワイ)
夏すでに草枯れてゐる丘多しトマトつぶれしごとき日没(スコットランド)
 (注:引用の中に、正字を新字に替えた所があります)。
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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。


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 福井県俳句作家協会の年刊句集「福井県 第55集」(2017年3月・刊)より、6回目の紹介をする。
 
同・(5)は、今月25日の記事にアップした。
 今回は、137ページ~157ページの21ページ、41人の410句を読み了えた。
 奥越地区(勝山市、大野市)のすべてである。両市は山間の市ながら、俳句の盛んな所と記憶している。
 季語の自然などと、人事を融合させて、秀でた俳句が生まれるのだろう。
 ここでも詩歌と同じく、女性が多くを占める。年齢はわからないが、若々しい吟じぶりの句がある。
 以下に3句を引く。
 M・定子さんの「隣の児」10句より。
ローカル線から秋風へ乗り換える
 Y・妙子さんの「奥越」10句より。
短パンの浅きポッケに九月来た
 T・喜美子さんの「冬の虹」10句より。
たどり来しその片陰を戻りけり
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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。



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 昨日(5月27日、第4土曜日)の午後、福井新聞社プレス21で催された、第13回「北陸現代詩人賞」贈賞式に参加した。詩の催しとしては、4月24日・記事の「福井県詩人懇話会総会」以来である。
 定刻前の喫茶室で、選考委員長の現代詩作家・荒川洋治さん(高校文芸部の1年先輩)に会い、鮎川信夫賞受賞のお祝いと、その詩集を読んだ事を申し上げた。また先日、妻が怒りながらパソコンで作ってくれた名刺(表裏あり)を、今日を目指していた通り、手渡す事ができた。
 午後1時、贈賞式が飴田アナウンサーの司会で始まった。
 主催者挨拶として、福井新聞社社長と、同・賞実行委員会代表のMさんの挨拶があった。
 同・実行委員会・事務局よりの選考経過報告は短かった。
 大賞のTさん、奨励賞のOさん(代理)、Iさん、Kさんに、選考委員の荒川洋治さん、K・明日夫さん、I・秀子さんより、表彰状が授与された。また福井新聞社社長より、正賞としてガラスのオブジェが授与された。
 選考委員長の荒川さん(東京・在住)より、講評とユーモアを交えた文学論が成された。各受賞者の1言のあと、会場編成のため、いったん退室。
 僕はまたもや、全体の写真を撮り忘れた。
記念パーティ2
 午後2時より、記念パーティに移る(上の写真)。
 立食と併せて、選考委員挨拶、乾杯、受賞者友人のスピーチ、受賞者の自作(1編ないし2編)朗読があった。
 立食パーティはノンアルコールで、オレンジジュース、ウーロン茶、ホットコーヒーなどが、飲み物として振る舞われた。
 定刻の午後3時を少し過ぎ、同・賞実行委員会・代表のMさんの閉会挨拶で、式が締められた。
 僕は数名の方に名刺を渡し、多くの写真を撮った。



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 吟遊社「春山行夫詩集」(1990年・刊)より、3番目の詩集「シルク&ミルク」を読み了える。
 2番目の詩集
「植物の断面」は、今月22日の記事にアップした。その詩集は、厚生閣の「現代の芸術と批評叢書」シリーズ(春山行夫・編集)の1冊であり、同叢書の詩集には、安西冬衛「軍艦茉莉」、北園克衛「白のアルバム」、北川冬彦「戦争」、吉田一穂「故園の書」がある。モダニズムの推進者として、春山行夫は編集力を振るった。「解題」の受け売りながら、当時の詩の状況を知るため、ここに付記した。
 「シルク&ミルク」の原著は、1932年(昭和7年)、ボン書店・刊。
 1932年には、「満州国」建国宣言が出され、5・15事件があり、評論ではプロレタリア文学と新興芸術派と共に、ファシズム文学が論じられている。
 この詩集では、やはり危機感が募ったか、「這入れない」「向かない」「消える」「かくれる」「小さい」等の否定語が多く、現実を否定したい気持ちのようだ。
 現実状況の否定の中に、プチブル・インテリゲンチャとして、庶民嫌悪の感情もあったようだ。例えば「納税督促人ト駐屯兵ト森林看守ト守銭奴ト/制動手ト脱疽患者ハ…」と続けた詩句がある。
 このあと詩集は、「花花」(1935年・刊)、「鳥類学」(1940年・刊)と続くが、戦後にはほとんど詩を書かず、詩集もないようだ。
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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。


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 河出書房新社「ドストエーフスキイ全集」第1巻(1958年・2刷、米川正夫・訳)より、第2作「分身」を読み了える。
 同・第1作
「貧しき人々」は、先の4月30日の記事にアップした。
 主人公・ゴリャードキン(下級官吏、後に旧ゴリャードキンとも呼ばれる)が、何か大金を得て、心因性の診察を受ける身でありながら、入手した以上の額の買い物の約束をする。主人公はまた、イヴァーノヴィッチ家の食事会で入室を拒まれ、失態を演じてしまう。
 職場では、同姓同名同郷を名乗る男(新ゴリャードキンとも呼ばれる)が雇われ、ずるい方法で主人公の功績を奪い、上役にも取り入ってお気に入りとなり、主人公を愚弄する。主人公は悩みの果て、精神科病院へ送られる。
 解説等では、新ゴリャードキンを、主人公の幻覚だとするが、僕はフィクションながら有り得る話だと思う。貧しい下級官吏の世界では、悪辣な人物が居ても、おかしくはない。
 主人公の大金の入手と、上流家庭への進出の意向は、あるいは「貧しき人々」で成功した、ドストエフスキー自身から得た着想かも知れない。
 中編小説かと思っていたが、かなりな長編小説だった。
 「貧しき人々」と「分身」は、昔に読んだ記憶があるが、次の「ネートチカ・ネズヴァーノヴァ」は初めてで、難渋するか、興味を持って読めるか、今はわからない。
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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。




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 福井県俳句作家協会の年刊句集「福井県 第55集」(2017年3月・刊)より、5回目の紹介をする。
 
同・(4)は、今月16日の記事にアップした。
 今回は、118ページより135ページまで、18ページ、35人の350句を読んだ。坂井地区(坂井市、あわら市)のすべてである。
 この短詩型に営々として励んで、新風を出すのは、並み大抵の事ではないだろう。句稿より、多くの句を捨てるとしても。
 以下に3句を引く
 H・圭子さんの「越の野」10句より。
暮れてなほサーファー挑む冬の波
 O・清女さんの「こんな1年」10句より。
犬連れて何時もの道を夏帽子
 S・潤子さんの「春寒し」10句より。
着膨れて子に逆らわず従わず
 今回も女性3人からの引用だった。
 次は奥越地区(勝山市、大野市)に入る。
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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。


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