風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケ(ハンドル名)が、この10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

2017年06月

 福井県俳句作家協会の年刊句集「福井県 第55集」(2017年3月・刊)より、9回目、最後の紹介をする。
 
同・(8)は、今月6日の記事にアップした。
 今回に僕が読んだのは、敦賀地区(敦賀市)の16名、若狭東地区(三方郡、三方上中郡)の19名、若狭西地区(小浜市、おおい町、高浜町)の9名、計44名の440句である。
 若狭地区には風土的に京都府の影響があり、古くからの文化(社寺、民俗、等)があり、もっと俳句が盛んかと僕は思っていた。
 これまでの「作品集」のページのあと、俳句大会等・受賞者1覧、協会各支部・現況、名前順・索引、編集後記・等があるが、ここでは紹介をしない。各地区俳句会の多さと活動力には驚く。
 以下に3句を引く。
 N・一雄さんの「子猫」10句より。
菊酒やさてのどぐろの一夜干し
 K・幸子さんの「煉瓦館」10句より。
花嫁の母のオカリナ聴く五月
 I・達さんの「沢庵」10句より。
細き身の手足大きく耕せり

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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。


 

 角川書店「生方たつゑ全歌集」(1987年・再版)より、歌集「風化暦」を読み了える。
 先行する歌集
「紋章の詩」は、先の5月30日の記事にアップした。
 歌集「風化暦」は、1974年、新星書房・刊。
 歌集を読んでいて、心境的には、夫の病気と老いの自覚、嫁した旧家の国への引き渡し等、有り得るもので、一人娘の婿・生方慶三の癌に由る死の他、突出した所はない。
 しかし歌境の進化から見ると、自然詠や写生を遠く離れて、産業社会の苛酷さを、新しいレトリックを以って切り開いて詠んで来たと言える。
 歌集の末尾の章に、婿・生方慶三の死を詠んだ「嘘」があるが、本格的な挽歌は次の歌集「灯よ海に」の連作「鎮魂譜」を待たねばならない。
 以下に「風化暦」より、7首を引く。
ひりひりと火傷ひきつる思ひあり家明け渡す嘆きは言ふな
予祝するシラブルはなし仮住みの庭にくるみの実ごもる日にも
家渡すことかなしむなと言ひ切りて荒涼となることも切なし
さゐさゐと灯油注がれゐるかたへ紊(みだ)れつつくる冬の霰は
曖昧なる眼もてざる犬とゐるこのてのひらを舐めさせながら
爪がたの美しかりし姉うへも今は骨壺のなかにしづまる
空きてゐるベッドの上に帷子(かたびら)を裁つとき雪のふる悲鳴あり
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。



 吟遊社「春山行夫詩集」(1990年・刊)より、第4詩集「花花」を読み了える。
 先行する詩集
「シルク&ミルク」は、先の5月27日の記事にアップした。
 詩集「花花」は、1935年、版画荘・刊。9章85編より、第1詩集「月の出る町」と重複する27編を除く58編を、この全詩集に収める。
 初期の詩と、「植物の断面」「シルク&ミルク」のモダニズムの成果から後退した、後の詩を混ぜて刊行したのなら、狡猾である。
 「途上」の「かさこそと水が鳴る 明日を待つ心に/(越方(こしかた)の希望(のぞみ)はかなしい!)//と、いろもましろな月 いざよへる水の上に澄む/(すつかり思ひも行ひも無駄であつた)/…」と、挫折と過去への哀惜を詠うようだ。
 「新月」では、「いま 積まれた清く暗い書物のかげに耳をすませ//そは暗き扉なり 眼をとく(’’)瞑ぢよ/あまたせはしき跫音は此方(こなた)に来るとも/煩累(わづらひ)のなかに眼をひらくことをやめよ」と、暗い時代を遣り過ごそうとしている。
 「新生の曙」では、「やるせなき哀愁を破る小さなる角が欲し/はるとともに新生の日はきたりてわがこころ萠えそめ/はるかなる曙の精気にうたれて東に対(た)つことをしたふ」の明るさは、心理的転向の証しだろうか。
 終編の「快楽」の末尾では、「ああ 私は兜虫のように/嗜眠のなかに青い薔薇のノスタルジアを夢みるのだ」と、甘い夢を詠っている。
 注:引用の中に、正字を新字に替えた所があります。
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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。


 福井県俳句作家協会の年刊句集「福井県 第55集」(2017年3月・刊)より、8回目の紹介をする。
 
同・(7)は、今月1日の記事にアップした。
 今回は、174ページ~200ページ、27ページの54名の540句を読んだ。
 南越地区(越前市、南越前町)のすべてである。
 鯖丹地区、奥越地区、坂井地区を越え、福井地区に次いでいる。
 旧くからの文化の息づく街だろうか。
 宗教がらみの句だと、無信仰の僕は、ほぼ拒否してしまう、癖のある読者である。孫褒めの句も好まない。
 以下に3句を引く。
 Z・梧桐さんの「枯れしものの音」10句より。
腕振りて先行く妻や草青む
 H・光生さんの「書初」10句より。
東雲の輝いてより初日の出
 T・葉子さんの「マイナンバー」10句より。
シニアとて一役買つて里祭

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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。



風のアンダースタディ

 Amazonのkindle本より、鈴木美紀子・歌集「風のアンダースタディ」を読み了える。購入は、今月2日の記事にアップした。
 書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」よりkindle版で読んだ歌集として、先の5月10日に記事アップした、蒼井杏
「瀬戸際レモン」に継ぐ。
 印象は、ずいぶんネガティブだな、という事である。結婚願望があって(相手にネクタイを贈ったりしている)、結婚しながら、DVを受けたようだし、相手の無呼吸症候群を知らせないのは憎悪を感じる。
 何も幸せな生活や、リアル充実を描くばかりでなく、短歌にこだわるのは訳ありの事情だろうから、ネガティブな歌があって良い。ただし「短歌は自己救済の文学である」という言い伝えを信じ、実感している僕としては、もっとポジティブな歌があり得る筈だ、と信じる。その後の彼女の短歌を知らないけれども。
 師の加藤治郎が、解説「代役の私」で引いた17首と、僕が読みながらメモした8首が、意図せずに全く重ならないのは、短歌観の違いだろうか。
 以下に6首を引く。
この辺は海だったんだというように思い出してねわたしのことを
お皿にはグリンピースが残されて許せないこと思いださせる
マフラーやネクタイ贈れば気のせいか怯えた目をするあなたと思う
本心が読み取れなくて何回もバーコードリーダー擦りつけてた
これ以上きみには嘘をつけないと雨は霙に姿を変えた
さっきまでわたしはあなただったのにシャンプーの泡ですべて流した




 

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