風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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2017年09月

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 8月29日の記事で到着を報せた、結社歌誌「覇王樹」2017年9月号を、ほぼ読み了える。覇王樹とはいかめしい名前だが、サボテンの事である。
感想
 小さい結社なので、結社誌を数日の内に、散文を含めて、ほぼ読み了えられるのは有難い。
 作品の掲載順は、前記の記事でも書いたように、順繰りに回っている。
 2ヶ月前の誌上の歌から、クラスに分けて、批評が1ページずつ載る。
 全社友を対象に毎月、題詠、付け句を募集し、僕の少ない経験からは、応募作品ほぼ全部が掲載される。
 社友の短歌が、短歌の商業紙誌に掲載されると、「覇王樹」誌上に転載される。受贈歌集の紹介は、2ページにわたる。
 名刺交換会と称して、社友の名簿も配られるらしい。
 特筆すべきは、「覇王樹」ホームページである(このブログのリンク集にあり)。歴史、近号作品の紹介、他、充実している。今号で入社の2人も、「ホームページより」と付記されている。
1首紹介
 今回に紹介する1首は、「紅玉集」のW・富紀子さんの「ミートソース」6首より。
もう少し前向きになる心まであともう少しデザート注文
 明日の健康より今日の元気、と僕も思う日がある。心が前向きになるなら、豊かなデザートを注文しよう。


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 青磁社「永田和宏作品集 Ⅰ」(2017年5月・刊)より、第6歌集「饗庭(あえば)」を読み了える。
 8月24日の
第5歌集「華氏」の記事に継ぐ。
概要
 原著は、1998年、砂子屋書房・刊。
 題名は、永田和宏の出生地に因み、夫人・河野裕子のアイデアだったと、二人のエッセイ集「たとへば君」に書かれていたと記憶する。(この本は、歌集を理解するにも傍らに置くべき本なので、文庫本を注文する予定である)。
 1991年~1995年の、480首を収める。40歳代後半の作品である。
感想
 息子・淳(歌人、現・出版社「青磁社」経営)、娘・紅(歌人、現・大学での研究者)が、思春期・青春期の危うさにあり、妻の歌人・河野裕子も若くはなくなってゆく危うさにあり、それらを見守って具体的に詠んだ歌がある。
 また講演・研究室での己を、余裕をもって見つめる歌がある。
 また母親の面影を知らない永田和宏は、ヴァチカンのピエタの図(あるいは像?)さえ、羨ましがり憎んでいる。
 主宰する「塔」の、「アララギ」の流れか、写生と呼ぶべき作品も多い。

引用
 以下に7首を引く。
今夜われは鬱のかわうそ 立ち代わり声をかけるな理由を問うな
がむしゃらにならねばついに到るなき喜びなどと説くさえ空し
父親をあだ名で呼べるいまどきの娘といえど楽しきものを
眠りいる聴衆の数を目で追いてそろそろ論をまとめにかかる
さしあたりひとつ挫折を先に送る脚長き子を危ぶみ目守る
(ち)さき耳に小(ちい)さき穴をあけきたる妻はかなしも厨に立てば
羨ましければかすか憎悪の兆せるをヴァチカンの闇に浮きたつピエタ
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写真ACの「童話キャラクター」より、「シンデレラ姫」のイラスト1枚。





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