風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

2017年10月

光のひび2
 Amazonのkindle本より、駒田晶子・歌集「光のひび」をダンロード購入し、タブレットに収めた。
 同じ「現代歌人シリーズ」の、
佐藤弓生「モーヴ色のあめふる」の読後感は、今月17日の記事にアップした。
 価格は1,000円。kindle unlimitedより、追加金無料で買える。
概要
 駒田晶子(こまだ・あきこ、1974年~)は、結社「心の花」所属。
 第49回・角川短歌賞・受賞。先行する歌集「銀河の水」により、現代歌人協会賞、ながらみ書房出版賞、宮城県芸術選奨新人賞、各受賞。
 歌集「光のひび」紙本版は、2015年11月、書肆侃侃房・刊。kindle版は、2016年1月・刊。
感想
 子育ての歌があるので、家庭を持って、時には違和感を滲ませて詠っているようだ。
 なお紙本版の古本が廉価で出ているので、紙本の古本で良い人は、それを購入するのも1手だろう。


 角川書店「増補 現代俳句大系」第12巻(1982年・刊)より、11番目の句集、香西照雄「対話」を読み了える。
 今月15日の記事、
稲垣きくの「榧の実」に次ぐ。
概要
 原著は、1964年、星書房・刊。中村草田男の長文の序、646句(1282句より、本書のため自選)、年譜、あとがきを収める。
 1938年~1963年の句を、第1部(1938年~1945年)、第2部(1946年~1955年)、第3部(1956年~1963年)の3部に分ける。
 香西照雄(こうざい・てるお、1917年~1987年)は、東大「成層圏」時代より中村草田男に師事し、1946年の「万緑」創刊に参加。
 中村草田男を補佐し、(没後の選者として)後継した。また「竹下しづの女句文集」の編集・発行等も業績とされる。

感想
 中村草田男の「人間探求派」であり、桑原武夫「第二芸術論」の時代を経て、現代俳句の道を行った。
 ただ二物衝突どころか三物衝突(例えば「祭り笛獅子頭めきバスが来る」)と思われる句がある。1句に多くを詰めこみ過ぎて、難解、字余りの句もある。
 現代の総合的な句風に至る過程だったのか。
引用
 以下に5句を引用する。
あせるまじ冬木を切れば芯の紅
母の咳妻の歯ぎしり寒夜の底
鬼百合や妻が少女となりし家
紫雲英道幾筋断ちて基地始まる(伊丹基地にて)
遠のけば白鳥まぶし稼ぐ妻よ
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写真ACの「童話キャラクター」より、「桃太郎」のイラスト1枚。





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 青磁社「永田和宏作品集 Ⅰ」も、今月14日の記事「日和」で過ぎたので、「岡部文夫全歌集」(2008年、短歌新聞社・刊)を本棚より出して来た。
 全歌集・購入は、前ブログ「サスケの本棚」に拠ると、2016年5月23日の記事にアップされている。定価9千円を、「三月書房」より再販本で5千円(消費税、送料、込み)で買っている。19歌集+合同歌集より抜き書き+初句索引等を収める。
 1956年より晩年まで、福井県内に住んだ事が親しい。
概要
 岡部文夫(おかべ・ふみお、1908年~1990年)は、石川県志賀町に生まれ、1928年「短歌戦線」に参加。
 1930年、口語非定型の歌集「どん底の叫び」を出版し、発禁となる。
感想
 学生(二松学舎専門学校)の身で、肉体労働者の叫びを描き、レトリック的に優れている。
 しかし次の歌集「鑿岩夫」も発禁となり、行動を伴わない運動に疑問を抱き、「プロレタリア歌人同盟」を脱退し、歌誌「青垣」に拠ったとされる。

引用
 歌集「どん底の叫び」より、5首を引用する。なお(‵)の付された語は、アンダーラインを引いた。
ごみ人夫から溝さらひまで一万三千人のごつい総罷業さ、見れ!東京の街を泥にしてやる
(む)したての大福のやうにべとべと肉がくつつくのだ仲間の身体は手もつけられねいぜ(炭坑)
(つら)と手をまつ黒にして上つてくれや夕方だい、眼と歯が光つてゐらあな(煙突掃除夫)
みんながみんな歯ぎしりをかみしめて生☓しにされた同志の棺が黙然と行く
一日の血を搾られた生白(なまじろ)い女工の群が、どたどた吐き出されくる


 

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 綜合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2017年11月号が、10月16日に届いた。
届くまで
 予約したAmazonより、10月13日に発送案内メールがあり、14日(土曜日)には届かなかった。
 15日(日曜日)午後、二人とも不在の時に届けられ、持ち帰られたらしい。15日の深夜、タブレットの通知の中に、「ご不在のため、持ち帰った品物があります」という1件(Amazonかららしい)を見付けた。
 郵便受けに不在連絡票があったので、24時間受け付けの自動センターへ電話をかけ、翌16日午前に配達してもらった。
 13日の発送案内メールに、「お届け予定日 15日」と記されていたのだった。細かい所を読んでいなかった。
届いてから
 「特集」、短歌作品、(南北の)「短歌甲子園レポート」、それにインタビューを受ける尾崎左永子さんも、歌集は読んでいないが注目する歌人で、楽しみである。
 それぞれを読み了えたなら、ここで紹介したい。


モーヴ色のあめふる
 Amazonよりのダウンロード購入を、今月13日の記事で報せた、佐藤弓生・歌集「モーヴ色のあめふる」kindle版を、タブレットで読み了える。
概要
 佐藤弓生(さとう・ゆみお、女性、1964年~)は、同人歌誌「かばん」会員。2001年・角川短歌賞・受賞。
 この歌集の他に、「世界が海でおおわれるまで」、「眼鏡屋は夕ぐれのため」、「薄い街」がある。また詩集、掌編集も刊行している。
 kindle版「モーヴ色のあめふる」は、2016年1月・刊。
感想
 この1歌集では正確な事は書けない。「あとがき」で、「心の真実にそむかず、ある境地に至ってしまったりせず、…ただよってゆきたいと思います」と述べている。
 現実の欠落、否定的部分を、嘆き悲しんだりせず、非日常的(幻想的とも評される)な歌に昇華しているようだ。達観したような所がある。
 月に関わる歌が多く、大きな連作もある。
 短歌に昇華しきれない部分が、詩集、掌編集となるのだろう。

引用
 以下に7首を引く。
恨みたい人などなくて雲の縁ほつるるままにわが淡き生
新聞受けに新聞なくて惑星の昼ひそやかに藍色のドア
ふるさとの蠅の多さを語りつつ青年が割る<かもめの玉子>
あなたの耳は入り江のかたちあかつきの星を波打ちぎわにとどめて
蛾となりて帰りくるひとあるような 月のつむじをみつめていたら
詩を思うときのなずきはいいにおい くちなしいろの月が上がった
月は死の栓だったのか抜かれたらもういくらでも歌がうまれる




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