風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケは、2017年10月17日付けでのAmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)の発行に続き、第5詩集「改訂版 ソネット詩集 光る波」(縦書き)を、2018年5月31日、Kindleストアにて発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 2011年10月1日・刊の紙本「ソネット詩集 光る波」に、数十ヶ所の加筆をし、編集しました。
 販売ページは、Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 ソネット 光る波」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。右サイドバーのバナーよりも着けます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。

2017年12月

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 今月5日の記事で、到着を報せた歌集、佐田毅「ほがらほがらの」を読み了える。
概要
 2013年、角川書店・刊。角川平成歌人叢書。
 2010年~2012年の作品より302首と、「あとがき」を収める。
 佐田毅(さた・たけし)氏は、1941年・生。1966年、「覇王樹」入会、1996年より「覇王樹」代表・編集発行人。
感想
 目立たないが巧みな暗喩によって、叙景や生活を表わす歌がある。
 また夫婦間の、ユーモラスな、あるいは立ち入るべからざる関係が、詠まれる。
 また東北地方大地震、原発災害も詠まれる。歌集名や読みぶりに危機感が少ないように感じられるかも知れない。しかし当時は、民主党政権時代であり、反権力の立ち場で来た者は、希望を持っていた。また原発被害も、福島県の1部地域のみで済むと思われていた。
 しかし、自民党政権下で安保法制、共謀罪などが成立し、改憲の動きがある現在、氏は「よこしまな世」と詠み(「覇王樹」2017年10月号)、トランプ大統領と北朝鮮の応酬を恐れる歌を詠んでいる(同・12月号)。
 氏にも危機感は、深まっているのだ。

引用
 多くの付箋を貼ったが、このブログの例によって、以下に7首を引く。
葉の陰にわが果たせざる夢鎮めひそかに咲かすねむの木の花
花びらにふれゐる娘の指先の和みのいろの河津のさくら
恩恵を安全神話に依存せしつけの大なる原発の事故
本日の妻の予定を問ひたれば「タイピンはそこよ!」と 多忙を極む
ちぎれ雲ちぎれて浮かぶ北の空 コーヒーカップに夏雲混ぜる
パソコンの扱ひ知らず打ちし文 キーの魔王が食べてしまひぬ
セシウムのほのかに含む稲の花 畦にゐ据り遠くを見つむ




てんとろり
 今月7日の記事、笹井宏之・第1歌集「ひとさらい」に続いて、第2歌集「てんとろり」の紹介をする。
概要
 書肆侃侃房より、2011年1月・初刷、同2月・2刷。
 「ひとさらい」以後、2005年から2009年に26歳で夭逝するまでの作品より、「未来」での師であった加藤治郎が451首を選んだ歌集である。
感想
 句割れの歌(「きんいろのきりん あなたの平原で私がふれた唯一のもの」)や句跨り(「リビングに小さな川が流れいてせせらぎが寝室までとどく」)の歌が多い。さらに1漢字の訓みの中で句が別れる場合がある(「人殺しにも幸せの木琴がかすかに鳴り響きますように」(ひとごろし/にもしあわせの/もっきんが/かすかになりひ/びきますように))。この例は、他の若い歌人の歌に読んだ事があるが、彼が初めだろうか。
 初句7音を含めて、定型への反発が内にあったのかも知れない。
 叶わない相聞の歌、死への予感(治癒の望みもあったようだが)、死後への詫び言と取られる歌もあって、駆け抜けた短い生の様が感じられる。
 代表歌の1つとして、「風。そしてあなたが眠る数万の夜へわたしはシーツをかける」がある。「数万の」は。「数万人」の「あなたへ」という意味かと思ったが、歌の流れからいうと、一人の「あなた」の「数万日の夜へ」の意味のようだ。
引用

 以下に7首を引用する。
暮れなずむホームをふたりぽろぽろと音譜のように歩きましたね
美しい名前のひとがゆっくりと砲丸投げの姿勢にはいる
札束でしあわせになるひとびとを睫毛あたりで肯定してる
真夏日の夜の公園にばらばらの鍵盤としてちらばる私
さざなみのねむりのふちをゆっくりと宿をはずしたやどかりがゆく
悲しみでみたされているバルーンを ごめん、あなたの空に置いたの
たましひの還る世界に似て遥か インターネットといふ混沌は
(「佐賀新聞」掲載作品より)



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 昨年11月26日の記事の、サザンカ3種と同じく、この冬も庭に3種のサザンカが咲いた。
 今年は天候と花の位置などによって、明瞭な写真が撮れなかった。カメラと技術のせいか?
 上の写真は、内側の花弁が白、外側の花弁が赤の花である。

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 赤花八重(?)のサザンカである。
 季節が来ると、大木1面に咲いて、見応えがある。

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 白花千重のサザンカである。咲ききった花が、上部にしかなく、良い写真を撮れなかった。
 かなり露出補正をしたのだけれども。
(これまで深夜零時3分に公開してきましたが、負担が大きいので、朝7時3分の公開にしてみます。)


ひとさらい
 先の11月27日の記事で到着を報せた、笹井宏之の歌集2冊の内、第1歌集「ひとさらい」を読み了える。
概要
 夭逝の歌人、笹井宏之(ささい・ひろゆき、本名・筒井宏之、1982年~2009年、享年26.)は、難病の「重度の身体表現性障害」(著者あとがき、より)を患い、初め楽曲制作等を行っていたが、よりエネルギーの少なくて済む短歌創作へ移っていったようだ。
 21歳の頃から歌を創り始め、「第4回歌葉新人賞」受賞、結社「未来」への参加、と2度の転機があったようだ。
 「ひとさらい」は、「未来」入会前、2005年3月~2006年4月までの作品を、歌人の加藤治郎・荻原裕幸が携わって纏めた。2011年1月、書肆侃侃房・刊、2015年9月・3刷。
感想
 1代限りの、前衛短歌の復活だろうか。岡井隆の重厚、塚本邦雄(少ししか読んでいない)の華麗に対し、命懸けの軽業(綱渡り、梯子乗り、等)だろうか。
 「八月のフルート奏者」の感想(初めの「笹井宏之の歌集2冊」より辿れる)で、ポップ感と書いたけれども、それは佐賀新聞文芸欄を読む祖父母を意識したもののようで、この歌集ではファンキーな感覚である。ファンキーとは、あるサイトに拠ると「いい意味で、型にはまっていなくて、一風変わっているさま」の意である。
 引用歌にあるが、暗喩の中庭で歌意を拾い上げ、生の真実を表わす。
 これも引用歌に、昭和戦後の庶民の像も、捉えている。
引用

 以下に7首を引用する。
風という名前をつけてあげました それから彼を見ないのですが
父さんが二百メートルほど先のいくさで子猫ひろって帰る
羊歯のふり巧みになって帰宅する農家の人とすこししたしい
野菜売るおばさんが「意味いらんかねぇ、いらんよねぇ」と畑へ帰る
「ねえ、気づいたら暗喩ばかりの中庭でなわとびをとびつづけているの」
安物の衣類をまとい夕暮れと夜のさかいに立ち尽くす主婦
食い荒らし食い荒らされて生きてゆく にんげんたちの一夜の宴




江戸雪 昼の夢の終わり
 Amazonのkindle unlimitedより、2冊の歌集をダウンロードした。
 まず11月29日に、江戸雪・歌集「昼の夢の終わり」。
 江戸雪(以下、敬称略)(えど・ゆき)は、1966年、大阪府・生まれ。「塔」所属。
 歌集「百合オイル」、「椿夜」、「Door」、「駒鳥(ロビン)」、「声を聞きたい」がある。
 歌集「昼の夢の終わり」は、紙本版が2015年11月26日、書肆侃侃房・刊。現代歌人シリーズ8。
 kindle版は、2016年1月28日・刊。

鯨井可菜子 タンジブル
 2冊目は、鯨井可菜子・歌集「タンジブル」。今月4日にダウンロード。
 鯨井可菜子(くじらい・かなこ)は、1984年・生まれ。「かばん」「星座」に所属。
 歌集「タンジブル」は、紙本版が2013年5月29日、書肆侃侃房・初刷。新鋭短歌シリーズ。
 kindle版は、2016年1月28日・刊。
 先に届いた、笹井宏之・歌集2冊、佐田毅・歌集、このkindle unlimited版2冊、岡部文夫全歌集、と短歌だけでも読書が押して、渋滞中である。いずれ解消するだろう。




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 結社歌誌「覇王樹」代表・発行人の佐田毅氏の最新第4歌集「ほがらほがらの」が、「覇王樹」発行所より12月1日に届いた。
経緯
 実はこの本を、購入した訳ではない。僕の読み了えたある全歌集(生前版)とそれに続く2歌集を、勝手に発行所へ送りつけて(事務局の方は関心はおありのようだったが)、この本を送って下さるよう、お願いしたのである。
 物々交換的とはいえ、自分の図々しさに、今更ながら冷や汗の出る思いである。
概要
 2013年、角川書店・刊。角川平成歌人叢書。
 なおスキャンで取り入れた表紙写真は、パソコン画面の白に紛れないよう、やや暗く露出補正してある。元はもっと明るい。
 佐田毅(さた・たけし)氏は、1941年・生。
 1966年、「覇王樹」入会。1996年、「覇王樹」編集発行人となり、現在に至る。
 これまでに歌集「三角州」、「スペクトル」、「プロセスの橋」がある。また研究書に「橋田東聲の研究」(2001年、短歌新聞社・刊)がある。


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 短歌結社「覇王樹社」の歌誌、「覇王樹」2017年12月号を、ほぼ読み了える。
 
歌誌の到着は、先の11月29日の記事にアップした。
 なおスキャンして取込んだ表紙が、先の記事では露出補正が足らず、地の白色に紛れそうだったので、今回は更に暗くした。元は白地である。
概要
 2017年12月1日付け・刊。A5判、39ページ。
 同人3クラスは、出詠6首のまま掲載、会員・準同人は出詠8首より6首選で掲載される。
 10首詠4名、力詠15首2名の他は、社友に掲載歌数の差はなく、平等である。
感想
 入社する時、会員、準同人、同人、どのクラスでも入れる、と知らされた。選歌のある、準同人に入って良かったと思っている。ルサンチマン(?)の僕なぞ、無選歌の同人に入っていたなら、どんな歌を詠んだか知れない。
 付句・題詠を全員より募集しているが、よほどの疵がないなら採られるようで、楽しみである。

 ホームページ「短歌の会 覇王樹」の更新も早く、すでに「作品紹介」など、12月号版になっている。僕の1首も載っていて、歌誌を読むのとは違う励みになる。
引用
 巻頭・八首抄より、M・照男さんの歌。
ダンプ行きクレーンも動く現場には明治の木屑昭和の破片
 古民家の解体作業だろうか。現場を描写しつつ、昭和から遠く明治まで、時代を掬っている。
 覇王樹集の特選1編、K・いつもさんの「インド更紗」6首より1首。
湯上りのインド更紗のワンピース優しく淡く友を想いぬ
 「優しく淡く」は、着心地にも、友の性格にも、友を想う気持ちにも、3つに掛かっているのだろう。




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