風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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2018年02月

 角川書店「増補 現代俳句大系」第13巻(1980年・刊)より、5番目の句集、山田みづえ「忘」を読み了える。
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草間時彦「中年」は、今月12日の記事にアップした。
概要
 原著は、1966年、竹頭社・刊。石田波郷・序、498句、石塚友二・跋、著者あとがきを収める。
 山田みづえ(やまだ・みづえ、1926年~2013年)は、1957年に石田波郷「鶴」に入会、1979年に俳誌「木語」を創刊・主宰した。
感想
 山田みづえは、1944年に大学を中退し結婚、1955年に2男子を婚家に残し、離婚した。
 家庭で最も悲劇なのは、幼い子の死去であり、離婚はそれに次ぐだろう。彼女も戦争の犠牲者であったか。
 父を亡くし(「露霜に暁紅顕ちて父は逝けり」)、母とは遠く(「栗食むや母は遠きに在りてよし」)一人暮らしをし、句風は鋭い。
 ややぎこちない所があるが、解説では第2句集「木語」(1975年)以降巧みになり、名人芸とさえ言われるようになったという。
引用

 以下に5句を引く。
春火桶妻失格のなみだ煮ゆ(別るゝと決む)
花虻や追憶ばかり相続す(相続放棄す)
空砲にも惑ひ翔つ鴨茜冷ゆ
白桃や弱音を吐かば寧からむ
晩涼や窓鈴なりの少女工
(注:今回より、文字の大きさの区分けが異なるようになったので、表記に違和があります)。
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写真ACより、「ファンタジー」のイラスト1枚。


 
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詩集 楽園の記憶 歌になった言葉たち
 Amazonより、あいね麗奈・詩集「楽園の記憶」kindle unlimited版をダウンロードし、タブレットで読み始める。kindle版は、1,250円である。unlimited版もある事を見つけ、ダウンロードした。
 副題に「歌になった言葉たち」とあるように、6人の作曲家に提供し、歌われた歌詞集である。32編と「はじめに」「おわりに」を付す。
 僕がなぜこの本に惹かれたかというと、出版社も電子書籍出版代行業者も通さない、自力でのkindle出版らしいからだ。
 歌詞は横書きだが、工夫された面もある。
 「詩集 日々のソネット」kindle版(kindle unlimited版もある)を、代行業者に依頼して出版した僕は、親近感を持った。
 英語のみの歌詞もあり、ゴシック風なのだろうか。
 自費出版(自力出版)のkindle版詩集を、たくさん読みたいものだ。



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 短歌新聞社「岡部文夫全歌集」(2008年・刊)より、6番目の歌集、「激流(げきりう)」を読み了える。
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歌集「朱鷺」は、先の1月12日の記事にアップした。
概要
 原著は、1947年、北陸青垣会・刊。463首、巻末小記を収める。
 青垣叢書「いしかは」「流氷」「寒雉集」「魚紋」の歌集の選に洩れた作品より成る。「いしかは」は1937年・刊の合同歌集であり、「流氷」はこの題名でなく合同歌集「日月」として1944年に刊行された。
 戦後・刊の「寒雉集」「魚紋」に就いては、このブログで取り上げた。
感想
 1926年~1946年の、7度の転任ごとに章をまとめ、巻末に「虫芥集」の章を置く。
 先の「朱鷺」の1ヶ月後の刊行であり、熱意と、資力のありようが偲ばれる。
 1940年~1943年の「信州飯山」の章に、「あかあかにぬり絵の線をはみいでて児(こ)がクレヨンのいろぞ量(かさ)なす」があり、今なら読み過ごしてしまいそうだが、当時としては贅沢な品だったろう。
 資力があったから悪い、というのではなく、蕩尽せずに歌集として残した事は、後の道を行くものにとって有益である。
 自信があったであろう「虫芥集」は、あまり感銘を受けなかった。生活詠・家庭詠に、惹かれる作品が多かった。
引用

 以下に7首を引く。
薄暗き本堂に吾ら掌(て)をたたきひそまりきくに鳴龍啼きけり
色渇せし麻蚊帳のなかにふしてをり家の貧しさを吾が思はざらむ
河の洲にいまだものこる夕明り子らほうほうと蟹追ふこゑす
夜を一夜(ひとよ)水鶏(くひな)のこゑのひびくなりこの山住(やまずみ)に堪へなむとおもふ
犯したるみにくき責(せめ)のいくつかは私にして隠し終ふべし
葱汁に鶏卵(けいらん)ひとつおとすさへおどおどとしてあからさまにせず
朝湯より帰り来し吾がをさなめを片粉(かたこ)の花のごともおもほゆ
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写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。





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 思潮社「吉本隆明全詩集」(2003年・2刷)より、「第Ⅳ部 初期詩編」の 「Ⅻ 日時計篇 Ⅰ(1950)」の1回目の紹介をする。このブログ上で8回目の紹介である。
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同・「Ⅺ 残照篇」は、先の1月18日の記事にアップした。
概要
 「日時計篇 Ⅰ」は、手製原稿数100枚に、1950年8月頃から年末にかけて書かれた148編の詩である。
 その内今回は、初めの「日時計」(916ページ)から「少女にまつはること」(958ページ)に至る、32編を読み了える。
感想
 「<暗い時圏>」の冒頭で「一九四九年四月からわたしはコンクリートの壁にはりめぐらされた部屋の中で 一日の明るい時間を過さねばならなかつた」とあるのは、年譜に拠ると、東京工大の「特別研究生」(現在の大学院生に該当)として学び始めたからである。ここでも異性関係の不幸と、強い孤独「喜怒哀楽のやうな 言はばにんげんの一次感覚ともいふべきものの喪失のうへに成立つ」、神経症的でさえある孤独を感じている。
 「詩への贈答」では、「この苦難にみちた時代にあつて/巧みな技倆と殉教者のやうにしかめた貌を視せる/あの姿勢(ポオズ)はまことの詩人のものとは思はれない」と、1部の詩人を批判している。
 「秋の予感」の末尾「それがもの言ふんだ もの言ふんだ!」の放擲的な書きぶりは、所々に現われ、中原中也の影響だろうか。
 「<海べの街の記憶>」でも投げやりな口調の後に、「ぼくはお礼に洗濯石鹸やハーモニカをとりだして/ついでに誓つてみせたものだ/きつと偉いひとになりますといふ具合に」と、おかみさんたちに誓っている。そして彼は後に、1部の人に仰がれて、全集類が何度か出版される有力者となった。彼の詩作品しか、僕は有力視しないけれども。
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写真ACより、「ファンタジー」のイラスト1枚。


 



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 2月16日(金曜日)午前10時より、メンバー3人が喫茶店の1隅に集まって、短歌研究会A第43回を持った。
 
同・第42回は、先の1月19日の記事にアップした。
 歌誌・歌集の貸し借り、返却をし、モーニングセットを摂ったあと、研究会に入る。
 研究会Aは、各自の詠草の検討である。
Mさんの10首より。
 7首目の下句「ひとときなれど除雪機を繰る」を、「老いの力に除雪機を繰る」にするよう、Tさんが奨めた。
 9首目の中句・下句「ねぎ、白菜そろそろ尽きしは心細かり」の下句を「そろそろ尽きむ心細しよ」にするよう、Tさんが奨めた。
 10首目の下句「野菜の棚は空つぽなりし」を結句「空つぽなりぬ」にするよう、僕が奨めた。過去の事なら、「空つぽなりき」である。
Tさんの10首より。
 1首目の上・中句「雪折れを挿ししは二十日前のこと」を自ら、「辛夷を入れるなら」という事で、「雪折れを挿しし辛夷はいつのこと」に直した。
 5首目「積む雪の間を来し郵便夫が届けくれたるバースデーカード」を、「積む雪の間を来たり郵便夫が届けくれにしバースデーカード」にするよう、僕とMさんが奨めた。
僕の10首より。

 4首目の2句~4句「「一つ進化しましたね」コメントのあり」の2句「一つ進化」の字足らずは引用だから仕方ない、との事だったが、「「一つ進化しましたね」とコメントのあり」に、直した方が良いと、のちに自ら気づいた。
 6首目の下句「更にちらほら降りかかりくる」の「ちらほら」にTさんが違和感を示すので、「更に粉雪(こゆき)の降りかかりくる」に僕が直して、納得してもらえた。
 そのあと、僕の今期の60首余を、2人に読んでもらい、感想を頂いた。
 次回の日程を決め、11時45分頃に散会した。
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写真ACより、「ファンタジー」のイラスト1枚。


 

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 貴重な原稿を発見、と言っても、有名作家の未発表原稿などではありません。
 約20年前の僕の歌稿、「子の進学」30首です。ふとした拍子に、大封筒に入っているのを発見しました。
 B4判にきっちり30首。結社歌誌「コスモス」の「O先生賞」に応募の原稿もありますので、その下書きだったでしょう。「O先生賞」には、応募しなかったようです。
 内容は、一人息子が県外の大学に合格し、出立までとそれからを描いた、わが家の絶頂期の作です。
 清書してある事は、当時にワープロを用いていたのだろう(パソコンはまだ用いていませんでした)。
 この「子の進学」は、30首選の前の形でか、小説を主にしていた同人誌「日本海作家」(数年前に終刊)に投稿して、編集長が数首除いた形で載りました。しかし僕の所蔵する「日本海作家」は100冊くらいあり、目次で捜すのも大変です。
 それで、僕の全詩歌集になると豪語する、もう1つのブログ
「新サスケと短歌と詩」にも未収録です。おりを見て、そのブログにこの30首をアップしたいと思います。



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 今日2回目の更新です。
 現在、ブログ「風の庫」のページビュー数の表示が、過大となっております。
 ブログ管理画面の、アクセス解析の示す数より、ちょうど1,000ページビュー多くなっています。
 「嫌がらせか」と言いたくなる、このような誤りが、これまで15ヶ月間に、数回ありました。
 翌日の、昨日のページビュー数表示では、アクセス解析の示した数に、戻っています。
 読者の皆様は、惑わされないでくださいますように。

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 2月14日昼の、北側の屋根の状態です。
 氷柱(つらら)は短いですが、内を向いています。屋根雪がずり落ちて、巻いている状態です。
 14日には春一番も吹き、これから降雪はあっても、大雪はないようです。これで春に向かってほしいものです。

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