風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケが、2017年10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

2018年03月

IMG_20180319_0001
 今月20日の記事「詩集と同人歌誌」で入手を報せた内、同人歌誌「COCOON」Issue07を読み了える。
 
同・Issue06の感想は、昨年12月28日の記事にアップした。
概要
 2018年3月15日・刊。81ページ。
 発行人・大松達知、編集協力・小島ゆかり。同人(1965年以降・生まれ)27名。
感想
 政治家の出鱈目な言動によって、真実を述べる文学の言葉は攻撃されている。しっかりした家庭と、しっかりした境地を持たないと、短歌も崩れる。若い人に、その被害は大きいようだ。
 たとえばM・竜也さんの「何もかも忘れてみようそうしよう私はバカでバカは尊い」などの、ユーモアでない自虐へ至ったりする。
引用
 S・美衣さんの「くっつき虫」6首より。
風船の尾を摑まんと手の中のたましひの緒を放してしまふ
 家庭の幸福のために犠牲になったり、株価のために選挙投票して、自分を見失いがちの時代だと僕は思う。
 K・絢さんの「白湯」12首より。
子の靴を脱がせてバスに座らせるとき少しだけ母ぶっている
 子と間隔を置き、自分を客観視する事で、ユーモアを滲ませている。後記「繭の中から」ではそれでも、夫との関係に悩む姿が見える。


角川「短歌」4月号
 3月24日の午後に、角川「短歌」2018年4月号・kindle版をダウンロードし、タブレットに収めた。
 同・3月号については、今月10日の記事にアップした。
 扉には、「創刊60周年を迎えました」の言葉と共に、「紙版・電子版 毎月25日発売」と記されているが、少なくともAmazon上では、紙版・電子版、共に1日フライングして、毎月24日に発売されているようだ。
 紙版:930円、kindle版:724円。kindle版だと、ひと通り読み了えて消去する、消耗品の感覚である。
 特集の「現代ならではのテーマをどう詠うか」に関心がある。両親の介護は兄夫婦に任せきりで過ぎたが、いずれ介護をするか、受ける身になるだろう。労働・仕事はリタイアしている。(ある1年を除いて、良い思い出がない)。
 あまり良い夫ではないけれども、ジェンダーには関心がある。時事は、関心がない訳ではないが、うまく詠えない。
 もう1つの「没後十年 前登志夫」も、没後の歌人の評価として、関心がある。
 既に巻頭作品を読み始めているが、さすがに内容は豊かだ。


同じ白さで雪は降りくる
 今月14日の記事、「歌集2冊をダウンロード(3)」で報せた内、中畑智江・歌集「同じ白さで雪は降りくる」を、タブレットで読み了える。
 諸版の発行年次、価格はそのリンクを参照ください。
 今月21日の記事、
田丸まひる「硝子のボレット」に次ぐ。
概要
 歌集は、344首、大塚寅彦・解説「旅のはじまり」、著者・あとがきを収める。
 中畑智江(なかはた・ともえ)は、1971年・生まれ。
 2008年、「中部短歌会」入会。2012年、中城ふみ子賞・受賞。
感想
 解説で述べられているが、短歌の比喩がとても上手である。比喩に賭けているような所がある。それに拘りすぎると、「歌なんてどうでもよくなる時があり」という心境になる。
 様々なレトリックを凝らした短歌を読んでくると、それらでは感動しにくい自分がいる。
 むしろ子育て、夫との齟齬、などの主題が気になって来て、現代的である。
引用

 以下に7首を引く。
レタスからレタス生まれているような心地で剥がす朝のレタスを
アメリカンチェリーの果汁しみるごと美(は)しき依存をしてみたき夏
限りなきひかり寄り添うボトルには水の期限が記されており
学校に行けなくなった子の昼にあかるき秋がすみわたりおり
握力の失せて展きしままにある右手の平はしずかな荒野
離してはいけないはずの手を君は傘の柄くらいに思っていたか
簡単にあきらめるという才能を持つ子が公孫樹の緑陰に入る




 角川書店「増補 現代俳句大系」第13巻(1980年・刊)より、7番目の句集、磯貝碧蹄館「握手」を読み了える。
 今月8日の記事、
三橋敏雄・句集「まぼろしの鱶」に次ぐ。
概要
 原著は、1966年、遊墨社・刊。中村草田男「序にかえて」、467句、著者「あとがき」を収める。
 本著で、俳人協会賞を受賞した。
 磯貝碧蹄館(いそがい・へきていかん、1924年~2013年)は、川柳、自由律、口語俳句を通って、1954年に中村草田男「万緑」入会。1974年、俳誌「握手」創刊・主宰。
感想
 彼の句は、彼の生い立ち(父母の離婚、父の放浪死)や、戦後の紙芝居屋、郵便局集配員としての就職、昇進などと共に語られるという。
 戦後復興と共に、生活が安定して行ったのだろう。
 師・中村草田男の影響とはいえ、字余りの句が多い。表現を矯める(歪めるのではなく)事も、定型詩において必要と思う。
引用
 以下に5句を引く。
合歓咲くやつかみどこなき父の愛
四方の菊ひかりぬ母も髪結へよ
花咲く馬鈴薯勇気は常に妻より享(う)
芽ぐむ山々膝で旅する座棺の母
戦没学徒ら透明に群なし春塵駆く
0-35
写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。






我孫子十字 童子の像
 記事にはしなかったが、(記録に拠ると)今月2日に我孫子十字・歌集「童子の像」kindle unlimited版をAmazonよりダウンロードし、先日にタブレットで読み了えた。
概要
 2012年に「紅書房」より刊行された歌集を基に、2017年11月15日、(株)22世紀アートを通して、電子書籍化された。
 作者は既に、歌集「大寺の裏」、句集「木の葉雨」を刊行している。
 電子版「童子の像」は、横長1ページに9首(9行)を収め、字は大き目で、読みやすい。
 ハイライト機能があるので、気に入る歌にはハイライトし、メモと共に残した。
 書肆侃侃房以外でも、歌集の電子出版は、業者を通してでも、始まっている。
引用と感想
十月の暦をめくり残りたる月日を思ひ来し方を思ふ
 十月は、暑い夏と寒い冬の間で、人生の感慨の湧く時季であろうか。
始まりは闇市といふ駅裏の市場近々毀たるるといふ
 戦後の名残りの終わりが、市街の建物にも及んでいる。
曾遊の箱根の山を偲びつつ二日三日は駅伝を追ふ
 過去と現在が、感覚では繋がっている。
傾ける塀の隙よりカーテンを引きて静まる廃屋の見ゆ
 少子化と都市集中により、過疎地でなくとも、廃屋は増えるだろう。

絶句してひた目守るのみ次々とテレビに映る大津波の様
 東日本大震災を、書き残す事は大事である。
大逆の罪に問はれて刑死せる幸徳秋水羊羹と化す
 時代は移り、土産品となったのだろう。
不知火の海を隔てて天草をあなたに見つつ出湯に寛ぐ
 老いの安穏のひと時だろう。
 総じて、古い酒を新しい革袋に入れた感は残るが、自費の電子歌集出版の先駆けとして、勇猛である。



↑このページのトップヘ