風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

2018年12月

 石川書房「葛原繁全歌集」(1994年・刊)より、未刊歌集「風の中の声」前半(110ページ、「雪と幼子」の節まで)を読み了える。
 先の11月16日の記事、
同「蟬」を読むに次ぐ。
 なおこの全歌集は、1ページ10首(10行)組みであり、20首組みだった短歌新聞社「岡部文夫全歌集」よりも読みやすい。
概要
 歌集「風の中の声」は生前未刊の歌集であり、没後に原稿が発見された。実質的に第2歌集であり、題名も全歌集刊行会が仮に付した。
 1953年(33歳)~1961年(41歳)の706首を収める。短めなら2冊分の首数であり、前後2回に分けて紹介したい。
感想
 彼は1947年に労働争議に関わり、1949年に退職、転職した。1949年には結婚し、子供も生まれた。
 更に長男として、母、弟妹の生活を扶助し続けなければならなかった。1度ヤケドを負った、その様な庶民は、2度と政治的闘争に関わろうとしないだろう。
 重役に追従を言って暗澹となったり、多人数の馘首に関わったのは、生活のため、生き抜くために致し方なかったのか。
 人嫌いになったのか、叙景歌が多くなる。しかし人のいる叙景に優れていたようである。自然詠では「アララギ」系の写生にまだ及ばないようだ。
 短歌が救いであったと、書かれていないが、信じられる。
引用

 以下に7首を引く。
偶然が人を支配しゆくことを語れども納得を君に強ひはせぬ
野づかさの起伏を遠く自転車に見え隠れ来る人の小さし
妻と子と風呂より戻る声聞ゆ今宵三十五歳のわが誕生日
正義は常に労働者にありと想はねど四十人を失職せしめたり
食卓を中にして妻と対ひをり我が生涯のおほよそは見ゆ
背負ひ切れぬ荷重(かぢゆう)を更に積むごとし公私にありて限りもあらぬ
折紙の飛行機作り幼子と遊べば明日は団交が待つ
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写真ACより、「乗り物」のイラスト1枚。


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光る波
 今日2回目の記事更新です。
 12月5日より
開始し、12月10日16時59分頃まで、kindle版・詩集「改訂版 ソネット詩集 光る波」の無料キャンペーンセールを開催中です。仏の顔も3度と申しますが、今回の3回目で無料キャンペーンの最終回です。
 Amazonの無料・詩歌売れ筋ランキングで、昨日17時で第4位、21時で第6位でした。高浜虚子の句法書や、中原中也の詩集に混じって、健闘していたと思います。17日17時、40位です。
 買い方、内容について、これまでの記事に尽くされています。メニューバー下のメッセージボードと、右サイドバーのカテゴリ別アーカイブの下方、「自費出版」の項の「改訂版 ソネット詩集 光る波」より、是非お読みください。
 スマホ版では、メッセージボード下の表紙バナーより、PC版では右サイドバーの表紙写真より、お来しください。


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 思潮社「関根弘詩集」(1968年・刊)より詩集「絵の宿題」より、「絵の宿題」の章を読み了える。
 今月4日の記事、同・詩集より
「実験」の章に次ぐ。
概要
 原著は、1953年、建民社・刊。
 1920年生まれながら、戦時中、「軍事工業新聞社」に勤めていたせいか、従軍を免れた。
 戦後、「全国工業新聞社」に勤め、組合運動に携わり日本共産党に入党(後に脱党)するがレッドパージで離職。後は文化活動に従事したようだ。
感想
 「絵の宿題」の章は、表題の章ながら、5編を収めるのみである。
 「背中の目」は、戦後再建の時代の、新聞報道や緑の羽根の欺瞞、野球放送・観戦、競輪等の賭博、等の娯楽に由って、生活と向き合う心を逸らさせる、風潮を描いた。
 詩集の表題作でもある「絵の宿題」は、語り風な文体と4行/2行の繰り返しに由って、絵本風な作風を取り入れている。末尾近く「ところが/ゼイキンはボク達が払っていた。//ここに描いてください。ゼイキンを払っているボク達を。…世界(ニホン)は僕たちのもの。/ボク達がボク達のものになるとき」は、納税者の誤りと、スローガン的な面がある。
 「燃えている家」は、「燃えている家」を初めに置いた3行を繰り返すレトリックはありながら、ドグマ的である。
 「靴の歌」では、電車、汽車、自動車、飛行機に反し、靴を賛美している。今から見ると、アナクロニスティックでもある。
 リアリズムとアヴァンギャルドの統一という目標は、達成されていない。
 彼はサークル詩運動を唱導したが、戦後庶民が感情表白の場を得た喜びが想像される。
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写真ACより、「乗り物」のイラスト1枚。





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 北庭に、南天の実の1房を見つけたので、写真アップする。
 昔は庭に何ヶ所かあった南天もすたれて、今年は欠けの目立つ1房のみである。
 家の北東部(鬼門)に中るが、庭の北東の角ではない。

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 万両の2株が、乏しい実を付けた。鉢植えの親株はなく、小鳥が自然生(じねんば)えさせた株で、左が兄貴分にあたる。
 昨年は12月17日、積雪から起こした、実生の万両(上初めの株)の写真をアップした。
 生長は良いので、実の少ないのは、開花期に雨が続いた(当時、心配していた)からだろう。
 鉢植えの株は、こうまで少ない年はなかった。鉢植えでも、世話をすれば、自然より結実の環境が良いのかと、自然の厳しさに思い至る。
 南天も万両も、来年はたくさんの実を付けてくれるよう願う。


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光る波
 このブログの運営者・新サスケ(ペンネームは柴田哲夫)の第5詩集「改訂版 ソネット詩集 光る波」kindle版の無料キャンペーンが、12月3日の予告の通り、12月5日17時より始まっています。
 定価540円(税込み)のところ、kindle unlimited会員でなくとも、kindle本を読める状態であれば、無料でお読みいただけます。
 17時には本を読んでいて見過ごしましたが、18時15分には開始を確認致しました。
 Amazonのkindle本コーナーで「ソネット 光る波」で検索してくださるか、右サイドバーの(スマホ版ではメッセージボード下の)詩集表紙のバナーをクリックしてくだされば、即で購入ページへ着けます。
 定年前後の生活を描いたkindle版詩集「日々のソネット」に先立つ、厳しい職場と、夫婦二人暮らしの家庭を描いた作品がおもの、「光る波」です。43編のソネット(おもに4連、14行の詩)を収めています。
 苦しんで勤めている方、ささやかな家庭を保っている方、それらに関心をお持ちの方に、お薦めです。
 無料キャンペーンの終了は、12月10日(月曜日)午後16時59分頃となっています。是非お求めください。


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岡野大嗣 サイレンと犀
 先の11月7日の記事「入手した4冊(2)」で紹介した内、岡野大嗣・歌集「サイレンと犀」kindle unlimited版を、ようやく読み了える。
 なお同記事の4番目、幸田玲「再会」は既に短編小説集「月曜日の夜に」にてか、読んだ事があったので評しない。
概要
 歌集「サイレンと犀」は、書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズ16。
 紙本版:2014年12月15日・初版。価格:1,836円。
 kindle版:2016年6月4日・刊。価格:800円。kindle unlimited版は追加金:無料。
 巻末に東直子・解説「命を見据えて現代を探る」、著者・あとがきを収める。
 岡野大嗣(おかの・だいじ)は、1980年・生。
感想
 上品な町、上品な家庭に、上品に育って、1昔前の言葉だが、草食系男子に入るだろう。恋人ができても、難関を越える前に、美しい過去が汚れる事を嫌って、別れてしまう。美しい棋譜を残しての、投了に喩えられる。優しい母親への愛憎が感じられる。
 仕事の管理の厳しさに因るのだろうか、やや歪んだ歌も散見される。
 僕が心配するまでもなく、彼は元気に生き抜いているだろう。
引用

 以下に7首を引く。
きれいな言葉を使ってきれいにしたような町できれいにぼくは育った
地下街は地下道になるいつしかにBGMが消えたあたりで
僕ひとり乗せた車で僕はいま僕の命を預かっている
社是唱和 白いセミナー室にいてわたしは生まれなおされている
ダウニーの匂いを嗅ぎすぎたときの頭痛に備えバファリンも買う
僕だけが楽しんでたらどうしよう渡したガムをすぐに嚙むきみ
運転に支障はなくて何年も放置している心の異音



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 今日2回目の記事更新です。
 「ブログサークル」のお仲間、ビー玉さんのブログ「大人の美術館」より、12月3日の記事
「無料で絵画を楽しみ尽くすアプリを紹介」から、5アプリの内、「e国宝」をタブレットにダウンロードしました。
 各地の国立博物館に収蔵の国宝を、ネット画面で観られます。
 上の写真は、タブレット上の「e国宝」アイコンと、これもビー玉さんのブログより以前に頂いた「ネガポ辞典」のアイコンです。

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 上の写真は、タブレット上の「平治物語絵巻」の1部分を拡大し、トリミングしたものです。
 このアプリでは、大量の資料を蔵するだけでなく、拡大、絵巻の自動スクロール等の、機能があります。簡単な解説が付きます。
 写真は拙く、1部に照明の映り込みがあります。
 数十巻の本に優ると思います。
 この他に、世界美術等のアプリも紹介されていますので、お気に入りをダウンロードしてみては如何でしょうか。
 なおリンクと記事の掲載は、前以ってビー玉さんのご了承を得てあります。ありがとうございます。


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