風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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2019年03月

 僕が関わった同人詩誌「群青」第14号(2009年2月25日・刊)より、エッセイ「デジタリアンもどき」を、僕のホームページ「新サスケ’s Ownd」の、3月31日付け記事に転載しました。
 「群青」より逆年順にアップしているので内容は古く、デジタルの進歩は速いので、隔世の感があります。
 それも1興として、お読みください。
 アドレスは以下の通りです。


masakyf-diary.amebaownd.com/posts/5978081


 なお、このリンクは、フィッシング防止等のため、2、3日後につながらなくなるようです。その場合「3月31日付け記事」のリンクより、お越しくださいますように。
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写真ACより、「テニス」のイラスト1枚。
ホームページのイラストと共通です。





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年刊句集「福井県 第57集」
 3月は毎年、福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県」の発行される月なので、今年も協会事務局へお願いした所、平成30年版・第57集を送ってくださった。
 3月25日・着。スマートレター・便。2019年3月20日・刊。

 昨年の「同 56集」の読書記事は、昨年5月15日の(8)が了いである。リンクより、過去記事へ遡り得る。
 
 第57集は304ページの分厚い本である。作品集欄は、1ページ2段組、1名1段10句を載せる。
 試算したところ、408名の参加であり、昨年の試算・394名より、やや増えている。
 福井県短歌人連盟の年刊歌集「福井短歌」の100名前後、福井県詩人懇話会の年刊詩集「詩集ふくい」の60名前後に比べて、格段に参加者が多い。

 僕はここ数年、この年刊句集を、ごく近い時期の、同じ地域の、詩のアンソロジーとして、大切に受け取っている。小分けにしながら読み進んで、ここに記事アップしたい。



 
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 砂子屋書房・現代短歌文庫91「米川千嘉子歌集」より、末尾の「歌論・エッセイ」7編と、3名の「解説」を読む。
 今月23日の記事、同・「一夏」を読む、に次ぐ。リンクより、過去記事へ遡り得る。

 エッセイの「山雀の歌」は、著者が科学者・歌人の坂井修一との結婚にごたごたがあった時、坂井修一が暗唱した伊藤一彦の歌の幾つかに、心が救われた経験を語る。オチの笑い話もつけて。
 馬場あき子・論「時代感と孤独のまなざし」になると、抽象的で難解となる。例えば「精神と肉体、情況と情念など、相反するもののきしみや葛藤、そしてそれらがもたらす悔しさや怒りやふとした錯誤の悲しみが、そこに生々しく浮上するからなのだ。」。B・ラッセルの言う言葉の階梯を越えて、比喩として取り入れながら、曰く言い難いものを表そうと苦闘している。
 短歌では、正直で豊かな感性を表しながら、評論となると固くなる。言葉の空転を恐れる程である。
 男性論客に伍して行く事はなく、豊かに表現すれば良いのに、と思う。

 これは日高堯子「鏡像の視野」、川野里子「朱夏混沌」、花山多佳子「思索と痛み」の3解説でも、ほぼ同様に思え、女歌の時代なのに、あるいはそれ故に、女性歌人が短歌を論じる困難さを思わせる。
 これでこの本を読み了え、「続 同」へ入る。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


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西村曜 コンビニに生まれかわってしまっても
 今月15日の記事、「歌集3冊と詩集1冊をダウンロード」で報せた内、西村曜・歌集「コンビニに生まれかわってしまっても」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
 kindle unlimited版の歌集の読了として、2月27日の記事、法橋ひらく「それはとても速くて永い」に次ぐ。
概要
 各版の発行時期、価格については、ダウンロードのリンクで報せたので、参照してください。
 西村曜(にしむら・あきら)は、1990年・生まれ、2015年に短歌を始め、2016年に「未来短歌会」入会。
 332首、加藤治郎・跋「生きていくこと」、著者・あとがきを収める。
感想

 著者が女性なのか男性なのか、わからなかった。表紙のイラストは、泣いている娘さんである。名前は「曜(あきら)」と男っぽい。自分を「俺」「おれ」「僕」と詠んでいる。後になって「わたし」と書かれ、「あなた」と呼び掛ける。「父と娘」「処理のあまい腋毛」「年増と呼ばれ」と詠んで、どうやら作者は女性のようだ。
 どちらでも良い程には、僕はまだ進んでいない。もし性指向が変わったのなら、それで良いけれども。
 画学生、引きこもり、コンビニ店員を移るなど、生活状況はあまり良くないようだ。それでもひっしに生き、恋をし、歌に救われて、生活しているようだ。
 加藤治郎は、なぜ困難な生を送る若者たちの歌集ばかり、プロデュースするのだろう。志向があるように思える。

引用
 以下に7首を引く。
サブウェイの店長として一生を終える他人がとてもいとしい
せりなずなてめえこのやろ息災は遠くフリーズドライの七草
「もしもし」とあなたが言って俺はその「もしも」の音に慄いていた
「いたみってすごい空港名だよね」それはしずかに発音をする
こしあんパンほどに優しいひとだからかばんの底でつぶれてしまう
おとうとよ「一口大に切る」ときは信じろきみの大きな口を
腐敗したわたしの心のやわらかさなぜかあなたはやさしさと呼ぶ



 

 
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句集 柿の葉8ページめ、スキャン
 今日2回目の記事更新です。
 3月18日(月曜日)に宮本印刷へ依頼した、義母(妻の母)の句集「柿の葉」が、10日後の28日(木曜日)に、約束通り成った。事前に電話をして、確認のあと伺った。
 上の写真の初め(左側)が表紙、後(右側)が8ページめである。
 句集といっても、B6判の冊子判で、全24ページ(表紙、奥付け、裏表紙を含めて)、56句を収める。
 義母が老人ホームへ入ってより、「NHK俳句」などで学びながら、回想をおもに吟じた句の、ほぼすべてである。


 僕はかつてより、句稿を預かり、ワードでベタ打ちして、義母と句稿の遣り取りが何度かあったが、本にするに至らなかった。
 それが20日ほど前、義母が脳梗塞で倒れ、S病院の集中治療室へ入った。左半身不随、嚥下障害のため鼻よりのチューブで栄養を送っているという。
 僕は思い立って、見開きB5判、1ページ3首組の句集稿(下端を揃えていない)を、表紙(カラーのカットを入れればよかった)と奥付けと共にワードで作成し、宮本印刷へ持ち込み、20部(両家の分)を作成して貰った。表紙より、プライバシー保護のため、姓を消してある。

 句は、新かな、季語はない作も交じり、初心の作と思われる。自己嚥下能力の回復は難しいと医師に言われ、命の細る義母に捧げる。娘婿の僕は、まだ見舞いに行っていない。近日中に、この句集を持って、見舞いに行く予定である。




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 角川書店「増補 現代俳句大系」第14巻(1981年・刊)より、19番目の句集、中村苑子「水妖詞館」を読み了える。
 今月21日の記事、細見綾子・句集「技藝天」に次ぐ。
概要
 原著は、1975年、俳句評論社・刊。高屋窓秋・序、139句、著者・あとがきを収める。第1句集。
 中村苑子(なかむら・そのこ、1913年~2001年)は、結核病により大学国文科・中退、1932年に結婚した夫が、1944年に戦死した。その後、作句を始め、石田波郷の「鶴」、水原秋桜子の「馬酔木」、日野草城の「青玄」、久保田万太郎の「春燈」と移った。
 1957年、高柳重信(細見綾子・句集「技藝天」で、読まずに飛ばしたと書いた俳人)の招請によって「俳句評論」の創刊に参加、高柳重信・死去(1983年)後に終刊、以後・無所属。
感想

 「水妖詞館」は、無季ながら定型を守ろうとしている。旧かな、古典文法であり、「や」「かな」の切れ字も使う。
 どんなに写生や直叙から離れても、定型を守る1行詩である。語の組み立てが外れていない。僕の読書のストライクゾーン内である。女性の心情も読み取れるようだ。
 非定型、分かち書きの俳句に、僕はトラウマがあるようだ。高校文芸部員の時、短期留学のアメリカ人高校生が部室に来て、作った俳句を読んでくれと言った。半世紀以上、前の事である。3行詩だったと記憶する。その中の1語が難しく、英和辞典にもなくて、とうとうその句を読み解けなかったのだ。
引用
 以下に5句を引く。
跫音や水底は鐘鳴りひびき
撃たれても愛のかたちに翅ひらく
逢へばいま口中の棘疼き出す
若き蛇芦叢を往き誰か泣く
山に立つ誰彼の忌や黒き馬
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。




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覇王樹4月号
 所属する結社歌誌「覇王樹」の、2019年4月号が3月24日に届いた。
 同・3月号の感想は、今月13日の記事にアップした。なおリンクより、同誌の過去号の記事を遡り得る。

 2019年4月1日付け・刊。30ページ。第99巻第4号。
 会員数の減少などに因り、緊縮体制を採っているようだ。
 しみじみとした、優れた作品が多い。

 なお僕の「紅玉集(準同人)」6首(8首より選)は、3月号に続き特選だった。
 作品・他は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の3月26日付け記事以降、順次少しずつ掲載していくので、横書きながら是非ご覧ください。

 結社のホームページ「短歌の会 覇王樹」も、早や4月号の装いで、僕たちを励ましてくれる。



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