風の庫

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2019年10月

 今村夏子の芥川賞受賞作「むらさきのスカートの女」を読み了える。
 朝日新聞出版、2019年7月10日・2刷。

むらさきのスカートの女
 到着は今月22日の記事、届いた3冊を紹介する(6)で報せた。リンクより、「こちらあみ子」、「あひる」の感想へ遡れる。



 「むらさきのスカートの女」は、時期によって働いたり働かなかったりする「むらさきのスカートの女」を、家賃の工面を諦めた、「黄色いカーディガンの女」わたしが、ホテル清掃業務員へ誘う話である。「むらさきのスカートの女」は、飲み込みも良く、職場の受けも良く、5日目でトレーニング終了となる。しかし所長と不倫を始め、備品をバザーに出したと疑われ、仲間喧嘩から逃げ出してしまう。アパートを訪ねた所長を彼女が突き飛ばし、倒れた所長を「わたし」は死んだと嘘をつき、逃亡させる。「わたし」は彼女の後を追って共に暮らすつもりだったが、彼女と行きはぐれる。
 これは低所得者を笑っているのではない。いったんは体制側に入りながら、無邪気さ(それは公園で子供たちと遊ぶ場面で繰り返し示される)故に、体制から落ちこぼれる女性を描いて、小説の反権力性を示している。弱者の誉れと悲惨を、微かなユーモアを含ませて、丹念に描く。



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 10月29日(第5火曜日)の午前9時半、メンバー3人が喫茶店に集まって、短歌研究会B第37回を持った。僕は寝過ごす事を恐れて、8時半のモーニング・コールをMさんに依頼していたが、前夜に早寝して7時半に目覚めた。

 9月には1回飛ばしているので、同・36回は8月31日の記事にアップした。

 

 僕が喫茶店で着席すると、すぐTさんとMさんが現れた。僕とMさんがブレンド・コーヒーのモーニング・セット、Tさんがアメリカン・コーヒーを注文した。
 歌誌の貸し借り・返却、本の贈呈などの後、短歌研究会Bに入る。同・Bは、岩波文庫「宮柊二歌集」(宮英子・高野公彦・編)の読み込みである。
 今回は180ページ、歌集「藤棚の下の小室」(1972年・刊)より、1964年の「雑詠」の節より入る。

「雑詠」の節
 1首めの下句「松葉牡丹の色こぞり咲く」で、4句の1語、結句の3語の、緩急を僕が指摘する。
 2首めの中句・4句「抜歯後(ばつしご)の身の衰へを」について、抜歯でそんなに衰えるだろうか、とTさんが疑問を呈した。夏の歌なので、暑さによる衰えがあるのだろう、と僕は答えた。
 6首め「過ぎゆきしかなしみごとを木(こ)の実拾ふ思ひに似つつ偲ぶときある」。Tさんは、「木の実を拾う時は楽しいのだが。」と言う。偲ぶ時にも、1種の自足感はあったのだろう、と僕は答えた。
「藤棚の下の小室」の章

 まず「小室」を「しょうしつ」と訓む事を確認する。
 1首めの下句「いたく疲れあり犬遠く鳴く」で、結句の付け方が好ましい、とMさんが述べた。
 2首めの中句「ころほひゆ」は、「ころおい」+「ゆ」(「~より」の意味の古語)である。
 9首めの上句「くれなゐに山茶花咲けば十二月」の「~に~ば~月」の詠みぶりに、TさんとMさんが感嘆していた。
 他にも多く語ったが、ここに書ききれない。
 182ページで、実質2ページだが今回の研究を了えた。次回の日程を決め、10時半過ぎに散会した。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。



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 今月26日(第4土曜日)の「ふくい県詩祭in三国」の会場で、福井県詩人懇話会のアンソロジー詩集、「詩集ふくい 2019」2冊(2冊以上の購入を要請)を手渡された。
 正式には「年刊 詩集ふくい 2019 第35集」である。
 「同 2018」の感想は、昨年11月6日の記事、アンソロジー「詩集ふくい 2018」を読む、にアップした。




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 「同 2019」には、高校生を含め、53名・61編の詩と、「’18 ふくい詩祭 記録」他・資料を収める。
 僕はソネット「弟よ」を寄せた。


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 同日に帰宅すると、メルカリより、谷川浩司「中学生棋士」(角川新書)が届いていた。
 380ポイントだった。自己啓発本ではなさそうなので、読めそうである。

 10月28日(第4月曜日)に、結社歌誌「覇王樹」2019年11月号が届いたけれども、事情により紹介を後日に譲る。



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 昨日の記事、「ふくい県詩祭in三国」に参加、のおり会場で頂いた3冊を紹介する。なお当日・10月26日には、他に2冊を入手したけれども、それは明日に紹介する予定である。
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 まずT・篤朗さんより、同人詩誌「果実」81号を頂いた。
 2019年11月、果実の会・刊。50ページ。
 同人が新しく2人加わり、9名。教員・教員経験者を同人とする。

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 無料展示台より、同人詩誌「角」第51号を頂いた。
 2019年9月5日、角の会・刊。30ページ。同人20名。
 若狭を主とし、県内、都内の詩人に同人は及ぶ。

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 これも無料展示台より、笹本淙太郎・詩集「有の光芒」を頂く。角の会・同人。
 2014年8月31日、思潮社・刊。
 2章40編。125ページ。定価:2,400円+税。

 読み了えたなら、ここで紹介する。


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 10月26日の午後1時半~午後5時、坂井市三国町の三国コミュニティセンターで、「ふくい県詩祭in三国」が催された。僕は県詩人懇話会のカメラマン役を兼ねて参加した。
 昨年は11月19日、「2018 ふくい詩祭」に参加、の記事をアップした。


 

 今年は「日本現代詩人会創立70周年記念事業プレイベント」でもあり、日本現代詩人会・他、遠方から多数の参加があった。
ふくい県詩祭in三国・背景 (2)
 定員150名のところ、幾つもの椅子が追加された。写真に入らない関係者、数名があった。
 詩祭に先立つ12時半~13時、三国図書館所蔵のH氏賞・現代詩人賞・全受賞詩集の展示解説があった。

 式典・シンポジウムは、H・恵美子さんの総合司会で始まった。詩のコンクール(小・中・高校性、青年一般、の部)の表彰が行われた。
 開会の言葉は、70周年記念事業実行委員会会長・新藤涼子氏、ふくい県詩祭in三国実行委員会会長・渡辺本爾さんよりであった。
 来賓挨拶は、H氏賞創設者の次男・平澤照雄氏で、「H氏賞」の命名の由来について、貴重な話だった。1950年の日本現代詩人会の立ち上げの時、新人賞としてH氏賞を創設したが、創設者の平澤貞二郎氏が戦前、プロレタリア文学に関わっており、GHQの忌避に触れる恐れがあったため、名前を冠する事が出来なかった。

 講演は倉橋健一氏(大阪・在住の詩人)による、「現代詩における地方主義」。
 鼎談は「詩の地方主義」。佐野周一さんのコーディネイトのもと、川上明日夫さん、金田久璋さん、張籠二三枝さんが、熱く語った。
 閉会の言葉は、70周年地域別記念イベント部会部会長・新延拳氏。高見順の荒磯の詩を暗誦し、福井の厳しい風土から来る、厳しさと優しさを讃えた。
 午後5時ちょうどに式典・シンポジウムが終わり、場所を移して懇親会が催されるところ、僕は失礼して他の方と帰途に就いた。



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 ブログ等でお世話になっている暁龍さんのブログ、「あんこと麦と」の「配信・掲載情報のページです」より、紹介のマンガ誌2冊をタブレットにダウンロードし、暁龍さんの2作品を読み了えた。

 

 今年7月4日の記事、暁龍さんの新作マンガ、以来である。過去記事へ遡り得る。

 

家庭サスペンスvol.14暁龍 テンバイヤー・ママ

 「家庭サスペンスvol.14 こんな母親どう思う?」の巻頭「テンバイヤー・ママ ~全ては家族のために」32ページである。
 義母よりせしめた品をネット転売していた妻が、大きな取り引きをするようになり、破綻する物語である。
 少し思い当たる事(今は止めている)があり、ヒヤリとした。

家庭サスペンスvol.16暁龍 終わっている人
 「家庭サスペンスvol.16 こうして私は復讐した」より、「終わっている人」32ページである。
 夫よりハラスメントを受け続けた妻が、アクセサリの制作・販売で成功し、リストラに遭って働かない夫を見捨てる物語である。
 これも思い当たる点があり、諭される思いだった。


 写真はタブレットよりカメラ撮影したもの(スクリーンショットを撮れないため)で、不鮮明である。



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 海河童さんの写真川柳集「ダイビング川柳 其の参」Kindle版を読み了える。
 ダウンロードは、今月13日の記事、入手した4冊(5)で紹介した。


 

 また同「同 其の弐」は、先の9月13日付けの記事にアップした。

 

ダイビング川柳 其の参

 「其の参」は、「其の弐」に比べて、明らかにレベルアップした。「其の壱」は読んでいないので、残念だけれども。
 川柳集は、主に海中写真を背景に、初句、中句、結句、1句全体、解説、寸評(自己評価・付き)、の横長6ページで1セットである。
 自己評価は、駄句、佳句、秀句、特選の4段階である。
 「其の参」は、2019年10月7日、海河童本舗・刊。

 「君たちは正面から見ると笑えるね」が、評価・駄句となっている。写真の魚と背景を観ると面白く、写真川柳として優れると思う。
 掉尾「サンセット今日も一日ありがとう」が、評価・特選だが、素直過ぎて肯えない。

 海河童さんは、個人自力での電子出版の先駆者で、Kindle出版の解説書、ダイビングの海中写真集等、多数をKindle出版している。





 



 
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