風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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2020年04月

 矢部太郎のマンガ本「大家さんと僕 これから」を、メルカリで買って読み了える。
 緊急事態宣言の外出自粛で鬱陶しくなって、売り手には済まないが、念願の本を注文した。しかし僕はマンガに詳しくなくて、評の仕方も知らない。
 手塚治虫賞を受賞した「大家さんと僕」は、2018年7月27日の記事にアップした。



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 「大家さんと僕」の続編、完結編である。2019年・3刷、新潮社・刊。スピンオフの本を含めると、100万部達成らしいが、今はそれを読みたくない。
 矢部太郎は、お笑い芸人、俳優でもある。父は絵本作家、紙芝居作家だという。

 このマンガの魅力は、昭和初期生まれのお嬢さん育ちらしい大家さんの性格にある。
 小柄で、教養があり、旧くからの友人もいる。けじめがあり、ユーモアのセンスにも秀で、若いのちゃんともウマが合う。
 大家さんは2度の足の骨折のあと、他界する。そのあとのエピソードもある。
 大家さんは、矢部太郎・他の周囲の人々に、幸せを、人生を分けてしまったのだろうか。
 最後のコマに「千回転」とあって何かと思ったが、羽生結弦選手の「4回転」がそう見えたのだった。




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 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2020年5月号を短歌作品中心に読み了える。
 入手は今月15日の記事、入手した3冊を紹介する(8)にアップした。リンクより、関連過去記事へ遡れる。



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 巻頭作品20首では、最年長の来嶋靖生「立春の雨」に惹かれた。庭の歌、歌詠みの歌に、内省的な反戦歌が混ざって打たれる。
書けと言はれ初めて書きし文章を檄になつたと友の微笑む

 特集「秘蔵っ子歌人32人競詠」では、生年に幅があり、昭和14年・生~平成16年・生の歌人が推され、驚いた。共感するのは、同世代の歌人だろうか。
 もう1つの「選歌のポイント」は、僕は紙誌や短歌大会に投稿しないし、所属結社でも選歌がないクラスに入れたので、関心が薄かった。

 松田基宏「梅の咲く頃」7首より、1首を引く。
定年ののち安らけき歳月をなぞるか冬の林を歩む
 4句の句割れに、不安が見える。
 編集の運営に陰謀があるように見えて、杞憂であれば良いが。




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 昨日の記事、矢野一代・歌集「まずしき一冬」を読む、に継ぎ、「覇王樹」編集部より依頼の3冊めの紹介を転載する。


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 森川龍志歌集「幻の森まで」。
 詩集「バルカロオレ」、「幻を埋む」を持つ著者の、第1歌集。彩雲叢書第8編。栞には、文学博士・比較神話学研究の篠田知和基氏、歌人・美術家で歌誌「彩雲」代表の田中伸治氏、版画家・画家の越智志野氏、3氏が賛辞を寄せている。
 箱入り、1ページに2首、あるいは1首と詞書きのような行で構成され、贅沢な造りである。
 思いを強く打ち出して、描写ではなく、詩人らしい詠みぶりである。旋律と和声を伴った、妙音が読者に奏でられる事を願われている。

早春の暮れゆく先の杣道は少年の日の森へと続く
春惜しむ風の強きに部屋にゐてかすかに揺らぎつつ字引ひく
魔が時の頭上に蝉の時雨るるも井戸の底には滴りもせず
呂の音で始まる歌が氷雪の大地のどこかで燃え出づる頃
光ひとつあら野の中にまたたきて花苑の主の招待を受く
 (書肆 露滴房 2019年11月28日・刊)



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 所属する短歌結社「覇王樹社」の編集部より、要請されていた歌集評3冊の内、2冊めと3冊めが、昨日に到着を報せた「覇王樹」2020年5月号に載った。


 今月2日の記事、登坂喜三郎・歌集「いのち」を読む、に次ぐ転載である。


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 受贈歌集・評には、字数制限(題名、日付け・出版社を含め、20字×25行)がある。

 矢野一代・歌集「まずしき一冬」
 「海市」会員の著者の、「父の男の」、「いのち」に継ぐ、第3歌集。中川昭氏の跋文「黙秘の似合う人」、著者・あとがきを付す。
 穏やかな歌もあるが、跋文にある通り、「反骨の」歌人である。父よりの事業を引き受け、交渉の駆け引きなどの苦労も、人並み以上なのだろう。「父の遺産」の根性、負けん気の強さで、事業社会の男たちと渉り合って来た。20年を越える作歌も、生活の支えとなるのではないか。
 戦い続ける日々の果て、穏やかな日々と穏やかな歌の境地の日が訪れるよう、願われる。


眼球の奥そこ深く疼きおり今日の怒りはしこりとなりて
厳しさを美徳と育ち優しさを覚えぬままにもう日暮どき
傷つけて傷つけられてわれらまた言葉の銃口向け合っている
わが庭へにっちもさっちもゆかぬ種はこび来るのは決まって男
負けん気の強さと口下手はた吞兵衛どれもが亡父の遺産でしょうか
 (北洋館、2019年11月25日・刊)。



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 4月24日の午後、所属する結社歌誌「覇王樹」の2020年5月号が、ゆうメールで届いた。

「覇王樹」5月号

 同・4月号の感想は、今月5日の記事にアップした。


 今号には、3月1日の詠草締め切りながら、新型コロナウイルス禍を詠んだ歌があちこち読める。
 また今年11月に予定されていた、覇王樹100周年記念祝賀会の延期の可能性が報された。皆が安心安全に参加できるようにとの、配慮からである。

 僕の6首「パールは光る」は、同人の特選欄?「爽什」(10名)に初めて入った。内容は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の4月25日の記事より、2回に分けて載せる。横書きながら、是非ご覧ください。



 今号を読み了えたなら、拙い感想なりと、ここにアップしたい。





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 今日2回めの記事更新です。
 既にご存知の方もいると思うが、わが福井県では、全戸にマスク購入券を配布し、4月24日より、ドラッグストア「ゲンキー」で買えるようになった。県の早業だ。



 4月25日の午前11時過ぎ、妻が帰宅したので、「マスクは買えたか」と訊くと、買えたと言う
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 午前10時開店の「ゲンキー」だったが、10時半過ぎにレジに並ぶと、妻の2人あとで、今日の分のマスクは販売終了だったと言う。
 たくさんの人に行き渡るよう、2箱めは5月5日以降の販売である。

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 箱より取り出したところ。
 使い捨てマスク、1袋50枚入りである。不良品は無さそうだ。

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 1枚を取り出したところ。3層構造らしい。
 Made in Chinaの高級品でもないのに、2,350円は平時に比べ高価だと、妻は不満を言っていた。買えるだけ良いと、僕は慰めておいた。
 これまでネットなどで、割高品を買わなくて良かった。
 残っている使い捨てマスク、布マスクと合わせて、当分は充分だ。




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 福井県俳句作家協会・編の「年刊句集 福井県 第58集」(2020年3月・刊)より、2回めの紹介をする。
 同(1)は、今月14日の記事にアップした。



 今回は会員順欄に移り、福井地区(福井市と吉田郡)の、34ページ~55ページ(ほぼ所属誌・別にまとめてある)の、22ページ、44名440句を読んだことになる。
 県内のアンソロジー句集なので、風土感が親しみやすい。しかし宗教色の強い句は困る。
 新しい対句の発見(修練の上の奇跡である)や、新しい語(「ガレージセール」、「ナースシューズ」など)の使用、挽歌、老夫婦の情景、など優れた句は多い。ベテランが修練に打ち込んで吟じた句が多いのだろう。


 以下に5句を引く。
見つめつつ見つめられつつ雛仕舞ふ(U・総子)
薫風やガレージセールの椅子逆さ(H・芳夫)
星おぼろ母に最後の薄化粧(H・一枝)
老妻の少女となりて青き踏む(K・信夫)
蒲公英やナースシューズの行き交り(U・君枝)
0-10
写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




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