風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

Kindle本の第1歌集「雉子の来る庭」をKDPしました。右サイドバーのアソシエイト・バナーよりか、AmazonのKindleストアで「柴田哲夫 雉子の来る庭」で検索して、購入画面へ行けます。Kindle価格:250円か、Kindle Unlimitedで、お買い求めくださるよう、お願いします。

2020年05月

 5月28日に、所属する結社の歌誌、「覇王樹」2020年6月号がゆうメールで届いた。
覇王樹 6月号
 6月1日・付け刊、34ページ。
 通常の記事の他、100周年記念祝賀会の来年11月への延期、誌上全国大会の企画、等が報された。

 同・5月号の感想は、今月3日の記事にアップした。



 結社のホームページ「短歌の会 覇王樹」も、既に6月号仕様である。


 僕の「真夜更けてより」6首・他は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、5月30日の記事以降に分載するので、横書きながらご覧ください。


 今号も読み了えたなら、拙い感想なりと、ここにアップしたい。




このエントリーをはてなブックマークに追加

 福井県俳句作家協会・編の「年刊句集 福井県 第58集」より、7回めの紹介をする。
 同(6)は、今月26日の記事にアップした。



 今回は、敦賀地区(敦賀市、美浜町)、若狭東地区(三方郡、三方上中郡)、若狭西地区(小浜市、おおい町、高浜町)に渉る、187ページ~215ページの27ページ(途中、扉あり)、51名の510句を読んだことになる。
 今回で、「年刊句集 福井県 第58集」のアンソロジー部の、仕舞いである。今、記事を捲ってみると、ちょうど400名の4,000句を読んだことになる。福井県において、歌壇、詩壇より、遥かに人数が多いので、俳壇の隆盛を願う。

 コンサート、家事など、老いても忙しい様、過疎をそれとなく示す句など、現代を余すなく示して、貴重な郷土のアンソロジーである。
 以下に5句を引く。
征爾振るタクトの動き雲の峰(Y・一枝)
山峡の崩れ草屋根桐の花(N・一雄)
朝寒し忙しき一日始まりぬ(T・恭子)
柿を売る戸板一枚小商い(T・周山)
磯漁の魚分け合ひ浜うらら(H・稔)

0-22
写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。



このエントリーをはてなブックマークに追加

 角川ソフィア文庫「西東三鬼全句集」より、第5句集「変身」の前半を紹介する。
 第4句集「今日」は、今月25日の記事にアップした。リンクより、過去記事へ遡れる。



 句集「変身」は、1962年2月、角川書店・刊。その4月1日に、癌のため62歳で亡くなった。
 著者の「あとがき」があり、危篤に陥ったため、友人諸兄の協議により成った、と書かれる。
 1951年より約10年の、1,073句より成り、僕が紹介を2回に分けようとする理由である。
 角川ソフィア文庫の、155ページ~195ページを(1)前半とする。

 新興俳句以来の、前衛の態度を崩さず、第1線を突っ走るには、かなり苦しんだ跡が見える。字余りや、省略など。題材、表現にも、新を求めて止まなかった。

 以下に5句を引く。
鉄道の大彎曲や横飛ぶ雪
病者等に雀みのらし四月の木
河豚啖いて甲板
(デッキ)と陸に立ち別る
癌の兄と別れ直ぐ泣く群衆裡
冬越え得し金魚の新鮮なる欠伸
0-21
写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




このエントリーをはてなブックマークに追加

 県内にお住いの詩人・作家・評論家である定道明(さだ・みちあき、1940年・生)さんが、短編小説集「ささ鰈」を贈ってくださった。
 定道明さんの本では、2018年2月13日に、短編小説集「外出」を記事アップした。リンクより、過去記事へ遡れる。


 定さんは、略歴だけでも、4冊の詩集、7冊の小説、4冊の評論集(中野重治論)を、刊行している。Wikipediaの「中野重治」の項に、研究者として、名前と著作が載っている。

ささ鰈
 「ささ鰈」(2020年6月1日・付け、編集工房ノア・刊、242ページ)は、10編の短編小説を収める。心境小説に近く、初めエッセイ集かと思ったが、緒編の「犀星道」の主人公が「彼」であり、小説集と気づいた。僕のKindle本・短編小説「底流」の主人公も「彼」であり、名前を明かさない。
 定道明さんも傘寿近くなり、老いの心境、気にかかる思い出を、小説の形で残しておきたい、と思ったのかも知れない。


このエントリーをはてなブックマークに追加

 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集 1」(春秋社・版)より、3回めの紹介をする。
 同(2)は、今月22日の記事にアップした。



 今回は、「早過ぎた埋葬」「告げ口心臓」「アモンティラアドの樽」、3編を読んだ。
 「早過ぎた埋葬」は、葬られたあとも、、生きていた証拠や、生き返った例まで、延々と述べる。「私」はカタレプシイという病気で、昏睡状態に陥る事があり、生きたまま埋葬される事を恐れていた。1度目覚めに埋葬されたかと苦しむが、帆前船の寝棚で目覚めただけだった。

 「告げ口心臓」は、ある老人の片方の目を恐れる「私」が、老人を殺し、床下に隠す。派遣された警官の前で、「私」は躁状態になり、犯罪を告白してしまう。「黒猫」の成功で、似たパターンの短編を書いたのかも知れない。

 「アモンティラアドの樽」は、酒好きのフォルチュナトに苛められ続けた「私」が、酒を鑑定してほしいと相手を穴倉の奥深くに誘い込み、縛り付けて、壁の漆喰を塗ってしまう。この編では、罪の露見はない。それが「黒猫」や「告げ口心臓」より、進んだ点だろう。
十字架の墓
写真ACより、「十字架の墓」の写真1枚。



このエントリーをはてなブックマークに追加

 福井県俳句作家協会・編の「年刊句集 福井県 第58集」(2020年3月・刊)より、6回めの紹介をする。
 同(5)は、今月12日の記事にアップした。リンクより、関連過去記事へ遡れる。



 今回は、鯖丹地区(鯖江詩、越前町、池田町)と南越地区(越前市、南越前町)の、141ページ~185ページの44ページ、86名860句を読んだことになる。
 幼い日や若い日に返っての吟、親から曾孫に至る4世代の吟(長寿化によって、よくあることになった)など、現代を映している。
 なお「老ひし」(老いし、が正しい)、「終ゆ」(終ふ、が正しい)の誤りがあったのは、俳人グループとして惜しい。

 以下に5句を引く。
薄氷や幼に返り割つてみる(T・雪江)
四世代祈る幸せ初詣(K・早智代)
流灯に人は訣れを重ねをり(K・信子)
お気に入りつりし夏服胸にあて(Y・とみこ)
糸電話ほどに繋がる賀状かな(I・和夫)

0-20
写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。


このエントリーをはてなブックマークに追加

 角川ソフィア文庫「西東三鬼全句集」より、第4句集「今日」を読み了える。
 第3句集「夜の桃」は、今月20日の記事にアップした。



 「今日」は、1952年、天狼俳句会・刊。平畑静塔・序(文庫には不掲載)、著者・後記と共に収める。
 当時、関西に居を転々とした。「天狼」同人の平畑静塔、秋元不死男、橋本多佳子、高屋窓秋、他に沢木欣一、角川源義ら、俳人との交流は広く深かったようである。
 1948年以降、戦後の荒廃を残しつつ、1951年まで復興に向かう日本の景と情が吟じられる。家庭では、妻と別居、後の妻、愛人と、家庭的ではなかったようである(小林恭二・解説より)。芸術的前衛かつ政治的前衛たらんとすると、家庭が壊れるというのは、歌人の岡井隆と同じであると思う。

 以下に5句を引く。
春山を削りトロッコもて搬ぶ
麦熟れてあたたかき闇充満す
孤児孤老手を打ち遊ぶ柿の種
冬雲と電柱の他なきも罰
歩く蟻飛ぶ蟻われは食事待つ
0-19
写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。


このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ