風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

2020年10月

 岩波文庫の一茶「七番日記」(下)より、1回めの紹介をする。
 先行する同(上)を読む(7)は、今月10日の記事にアップした。




一茶「七番日記」(下)
  上巻と同じく、2003年・刊、本文ヤケがある。
 今回は前回に続いて、文化11年正月~6月の半年分、11ページ~62ページ、52ページを読んだ。
 前年正月に、遺産分配が成立して、一茶は田畑、山林、屋敷を得た。畠打ち、菜の花、苗代などを吟じた句が現れる。
 同年4月、一茶は52歳にして28歳の妻、(常田)菊を迎えた。当時の女性としては、晩婚だっただろう。菊は働き者で、指導で外泊の多い留守を守り、家事、畑仕事までこなしたという。一茶の俳句には、すぐには現れない。

 以下に5句を引く。
雪とけて村一ぱいの子ども哉
門番が小菜もぱつぱと咲
(さき)にけり
ちる花に鉢をさし出ス羅漢哉
来よ蛍一本草も夜の露
しんぼしたどてらの綿よ隙
(ひま)やるぞ




 最近に入手した4冊を紹介する。
 所属する結社歌誌「覇王樹」の2020年11月号が届いた。


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 なお同・10月号の感想は、今月13日の記事にアップした。

 11月号の僕の歌「共にファンで」6首は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、今月25日記事より、2回に分載したので、横書きながらご覧ください。



 県立図書館より、「ふくい風花随筆文学賞 入賞作品集」を贈られた。僕は1度も応募した事はない。

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 2020年6月、同賞実行委員会・刊。49ページ。


海河童 乗鞍
 海河童さんのKindle版・写真集「Photo Collection of 乗鞍」をタブレットにダウンロードした。
 Kindle版の無料キャンペーンの終了が近いと、Twitterで呟きがあったので、急いだ。既に見了えた本かと惑ったが、無料なのでとりあえず入手すると、初めての本だった。
 海河童さんのKindle版・写真集は、今年8月12日の記事にアップした、「Photo Collection of Similan Islands」以来である。



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 福井県詩人懇話会より、「年刊 詩集ふくい2020 第36集」2冊が届いた。総47編(物故者を含む)。僕はソネット「クーデターか亡命か」を寄せた。
 参加者は2冊以上の購入を義務付けられており、1冊以上は他者に広められており、合理的である。
 「同2019」の感想は、昨年11月11日の記事にアップした。






 筑摩書房の「ウンガレッティ全詩集」(河島英昭・訳)より、第4詩集「約束の地」を読み了える。
 第3詩集「悲しみ」は、今月16日の記事にアップした。



 詩集「約束の地」の題には、(1935年―53年)と付されている。
 全詩集版で23ページの、これまでとは薄い詩集である。
 中心となる「ディードーの心のうちを描いたコロス」は、19章より成る。ディードーはウエルギリウスの古代ギリシャ悲劇「アエネーイス」のカルタゴの女王で、トロイアの英雄・アエネーイスに見放されて、自死を選んだ。コロスは古代ギリシャ劇の、後方で歌う合唱隊である。
 この詩集の原書には自注と解説が付いており、この本では自注が訳出されている。
 第2次大戦下イタリアの、理性的な真実が幕を閉じてゆく様を、難解な(自由な)修辞(レトリック)で描いて、政権にも大衆にも、わからない作品だっただろう。戦後も兵士たちを悪の死とは、決めつけられず、嘆くかのようである。

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写真ACより、「秋の人物コレクション」のイラスト1枚。


 馳星周の小説「少年と犬」を読み了える。
 入手は、今月22日の記事、dポイントで3冊を買う、にアップした。



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 2020年8月25日・7刷、文藝春秋・刊。308ページ。第163回・直木賞・受賞。
 ハードボイルド小説(もう古い呼び方か)を、僕は苦手である。本屋で手に取ったのは、僕も1種の救いを求めたのだろう。
 シェパードと和犬の雑種・多聞が、犯罪に手を染めた男、窃盗団の男、関係の悪化した夫婦、タチの悪い情夫を殺した娼婦、老猟師、と相手の死や自首の度に飼い主を替え、震災・津波に遭った岩手県釜石から、目的の熊本に移住した少年一家に辿り着くまでを描く。多聞は、地震で古民家が崩れた時、少年を庇って亡くなる。
 裏社会や危機の夫婦、老猟師など、ハードな世界で読者を引きつけ、少年を救って犬が亡くなるなど、ちょっと感動的な物語である。しかし犬と人が友情を結ぶのに、どうして死を賭けなければならないか、僕にはわからない。

 僕はこれからも、良否は別にして、純文学を読んで行くだろう。


 村上春樹の回想記(そう呼ぶべきだろう)「ネコを棄てる」を読み了える。
 入手は、10月22日の記事、dポイントで3冊を買う、にアップした。



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 僕は村上春樹の本を、小説なら新刊単行本を、エッセイ集等は文庫本で、あるいは古本で買って読んでいた。この「猫を棄てる」は、手持ちのdポイントもさりながら、文庫化を待てなかった。あるいはメルカリで安く出ていたかも知れない。

 副題の「父親について語るとき」は文章として完結していない(「走ることについて・・・」というエッセイ集は読んだ)が、帯文の「時が忘れさせる・・・」に繋がるかと想像する。

 この回想記で亡くなった父を語りながら、彼は何を言いたいのだろう、と思った。結局は父の晩年、「父との関係はすっかり疎遠になってしまった。・・・いろいろとややこしいことが持ちあがり、関係はより屈折したものになり、最後には絶縁に近い状態となった。」父の死の床で、和解している。
 父と映画を観に行ったり、野球観戦に行った思い出は羨ましい。僕は父と娯楽の思い出がない。家業の農林業の手伝いに関わる思い出だけだ。


 僕は父の経歴に関心がなく、家系や従軍時代の仔細を調べようと思わない。1度だけ、新兵の話をしてくれただけだった。僕の父が亡くなって15年か、嫌な思い出も薄れて、僕の結婚、家土地に尽力してくれた、良い思い出だけが残る。僕の夢に亡き父母が現れないので、薄情なのかも知れない。

 村上春樹がこの回想記を書きなずみ、猫を棄てに行った挿話から書き出すと、書きやすくなったという。彼の物語作家の才能だろう。





 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第3巻(1978年・5刷)より、3回めの紹介をする。
 同(2)は、今月20日の記事にアップした。



 今回は、短編小説「軽気球虚報」1編のみを読んだ。このあと第3巻には、長編小説「ゴオドン・ピムの物語」しか収まっていないからである。

 「軽気球虚報」は、飛行船(軽気球とはなっているが、楕円形でプロペラ(翻訳ではスクリューとなっている)、舵を備える)で、大西洋横断に成功するフィクションである。イギリスからフランスへ、英仏海峡を越える予定の所が、気流の関係で大西洋横断に方針を替え、75時間で成功する。
 ライト兄弟の初飛行が1903年、リンドバーグの飛行機による大西洋横断は1927年である。1809年・生~1849年・没のポオは飛行機を知らず、飛行船の冒険に想像を馳せるしかなかったのだろう。

飛行船
写真ACより、「飛行船」のイラスト1枚。


 今日はブログ記事を書く元気がありません。
 インスタグラムの記事を埋め込みます。
 花梨の実2個、追熟させて、芳香剤代わりにします。

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