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 福井県内にお住まいの詩人、N・としこさんが、短い手紙を添えて、同人詩誌「角(つの)」第42号、43号を贈って下さった。
 
同・43号は既に読んでおり、今年5月3日の記事に感想をアップした。
 同・42号が未読だったので、ここで紹介する。
 同誌の同人であり、福井詩壇の善き長老であった岡崎純氏が先日に亡くなられ、惜しい事であった。
 10名10編の詩、3編の散文を収めている。2017年1月・刊。
 巻頭のK・久璋さんの「隠語論」は、老いての性の関心を描くようだ。彼特有の露悪も見える。
 N・としこさんの「クローバー」は、クローバーの花輪を作った幼時、3歳の自分にクローバーを摘んでくれて出征し亡くなった父、の記憶が蘇ったしばらくを描く。
 末2連を引用する。
幾才月の
甘ずっぱい記憶が
いちどに よみがえって
しばらくは わたしの宇宙は静止したまま

とおくで
お昼のぼーが鳴る
 H・信和さんの「亀の事情」は、「亀の言葉を/僕は知らないのだった」と締められるが、この落着きはある意味、特殊である。
 今号に載らなかった、S・章人さん、H・秋穂さんも、次の第43号には作品を寄せている。期待される詩誌である。