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 青磁社「永田和宏作品集 Ⅰ」も、今月14日の記事「日和」で過ぎたので、「岡部文夫全歌集」(2008年、短歌新聞社・刊)を本棚より出して来た。
 全歌集・購入は、前ブログ「サスケの本棚」に拠ると、2016年5月23日の記事にアップされている。定価9千円を、「三月書房」より再販本で5千円(消費税、送料、込み)で買っている。19歌集+合同歌集より抜き書き+初句索引等を収める。
 1956年より晩年まで、福井県内に住んだ事が親しい。
概要
 岡部文夫(おかべ・ふみお、1908年~1990年)は、石川県志賀町に生まれ、1928年「短歌戦線」に参加。
 1930年、口語非定型の歌集「どん底の叫び」を出版し、発禁となる。
感想
 学生(二松学舎専門学校)の身で、肉体労働者の叫びを描き、レトリック的に優れている。
 しかし次の歌集「鑿岩夫」も発禁となり、行動を伴わない運動に疑問を抱き、「プロレタリア歌人同盟」を脱退し、歌誌「青垣」に拠ったとされる。

引用
 歌集「どん底の叫び」より、5首を引用する。なお(‵)の付された語は、アンダーラインを引いた。
ごみ人夫から溝さらひまで一万三千人のごつい総罷業さ、見れ!東京の街を泥にしてやる
(む)したての大福のやうにべとべと肉がくつつくのだ仲間の身体は手もつけられねいぜ(炭坑)
(つら)と手をまつ黒にして上つてくれや夕方だい、眼と歯が光つてゐらあな(煙突掃除夫)
みんながみんな歯ぎしりをかみしめて生☓しにされた同志の棺が黙然と行く
一日の血を搾られた生白(なまじろ)い女工の群が、どたどた吐き出されくる