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 思潮社「吉本隆明全詩集」(2003年2刷)より、初期詩編の2回目の紹介をする。
 
同・1回目は、先の10月22日の記事にアップした。
 なお上の写真は前回と違って、2重箱の外箱である。右上角に傷みがある。
概要
 
初期詩編Ⅲ(1944年の作品)19編と、Ⅳ(1945年の敗戦前の作品)2編を取り上げる。以降は戦後の詩となる。
感想
 初期詩編Ⅲは、「草莽」と題される。
 「原子番号0番」では、「私のやうな青くさい年齢になると/何をやつても救はれないやうな/どん底の意識を感じるのです」と、戦時下の本音を述べているようだ。
 「原子番号三番」では、「風は透明次元からの借りもので/…/唯光度と四辺の新鮮度が/大きな問題となつて現はれるやうです」と、戦後の彼の詩法を明かしているようだ。
 宮沢賢治の影響がある詩は、山形県の米沢高等工業高校に在籍していた、東北性があるかも知れない。
 「雲と風と鳶」では、「もう明日からはしづかな沈黙をまもつて/小さな自意識をかみしめませう」と、慎ましい孤独感を述べる。
 「草ふかき祈り」のような、戦争詩もある。
 初期詩編Ⅳは、「哀しき人々」と題される。
 「雲と花との告別」では、「おれたちは結局すべてのものの幸のために生命を捨てるのだ」と、戦時思想の極を述べている。