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 今月22日の記事、「届いた2冊」で報せた内、同人歌誌「COCOON」Issue06を読み了える。
 
同・Issue05は、今年9月26日の記事で紹介した。
概要
 結社誌「コスモス」内の若手歌人(1965年以降生まれ)より、27名を同人とする。
 Issue06は、2017年12月15日・刊、83ページ。
 短歌作品、評論だけでなく、短歌と細密イラストを合わせた「うた画廊」、それに「COCOON歌合」、エッセイ、アンケート「お付き合いしてみたい近代歌人」など、多彩である。
感想
 時代の危機(危機でない時代があったか、という声もあるが)は、心、言葉、生活への圧力において、若者に著しいようである。
 僕のように隠退して、年金を頼りにしている者より、若者は危機を敏感に感じているようだ。
引用

 O・まきさんの「胸の木」24首より。
さみしいと言えない人がさみしいと言わないために閉めるドアあり
 自分を損なうに至らない為にも、歌を詠み、読まれる事が必要である。
 K・なおさんの「非通知」24首より。
動く歩道のうえを歩けばるうるうと水を進める鷗のきもち
 比喩とオノマトペを用いた、優れた1首。
 H・晃央さんの「駱駝の欠伸」24首より。
センターの地理で苦しめられた境港の湾口砂州は壮観
 句割れ・句跨りが、もはや衝撃や美を生んでいない。
 O・達知さんの「天元」12首より。
先輩がいちねんごとに減つてゆく裸の王様はここちいい
 次第にベテランになる不可解さを、ひらがな、句跨りにより表わしている。裸の王様への堕落は、反語的に「ここちいい」と書きながら、彼には無いだろう。