角川書店「増補 現代俳句大系」第13巻(1980年・刊)より、4番目の句集、草間時彦「中年」を読み了える。
 今月3日の記事、
鷹羽狩行「誕生」に次ぐ。
概要
 原著は、1965年、竹頭社・刊。539句、後記を収める。
 草間時彦(くさま・ときひこ、1920年~2003年)は、初め「馬酔木」に投句。1953年の石田波郷「鶴」復刊に参加。1975年「鶴」同人を辞退。1978年~1993年、俳人協会・理事長。他。
 「馬酔木」時代の「高原俳句」、「鶴」時代の「サラリーマン俳句」、無所属時代の「グルメ俳句」と呼ばれる。
感想
 定年まで会社勤めをした、サラリーマンの俳句である。
 それ以前の俳句を僕は知らないが、向上性にやや欠けるようである。後書では、「結局は、わたくしの俳句は個の呟きの域を出なかつたのではないだろうかと。これは今後への戒心である。」と自省している。
 「賞与得てしばらく富みぬ巴旦杏」の身も蓋もない句がある。また60年安保を巡って、「梅雨のデモ殺到すサラリーマンの胸へ」1句のみを、申し訳のように収める。
 「運河に散る桜や集団就職工」の句では、「散る桜」を添えて、彼らの将来が明るくない事を示すかのようだ。
 俳人サラリーマンへの、会社の低評価を嘆く句、「冬薔薇や賞与劣りし一詩人」等があって、関心を惹く。
引用

 以下に5句を引く。
銀河濃し父となりたるばかりにて
黴の香や灯ともるごとく子の寝顔
爆音や干潟に臀立て市民たち
走り蚊や明日は忘るる小悪事
一せいに物干す団地聖五月
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写真ACより、「ファンタジー」のイラスト1枚。