2月22日の記事で、ダウンロードを報せたkindle unlimited版・歌集2冊の内、土岐友浩「Bootleg」を読み了える。
概要
出版社、諸版の発行年次、価格等は上述の記事にアップしたので、ご覧ください。
土岐友浩(とき・ともひろ)は1982年・生。京都大学・卒。精神科医。
「京大短歌」に所属して活躍した。
第1歌集に、東直子・解説「不在の中の存在感」、著者「Note」を付す。
感想
経歴を見ると恐れ入るけれども、表紙イラストのせいか、歌の内容からも、線の細い人に思える。
恋人に尽くして、かえって追い詰めているのでは、と悩む歌がある。
第2部の3連作が、小浜在住時代に成ったとするが、福井県の小浜市を指すならと、身近にも感じた。
題名の「Bootleg」は、海賊版の意味である。
先の記事で、kindle unlimited版の好みの歌集が残り少ないと書いたけれども、巻末の広告を見ると、書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」で、まだまだありそうである。
引用
以下に7首を引用する。
あたらしくできた日陰で聴いている ここはどこ、から始まる歌を
牛乳を電子レンジであたためてこれからもつきあってください
いまはもうそんなに欲しいものはない冬のきれいな木にふれてみる
一台をふたりで使うようになるありふれたみずいろの自転車
ローソンに寄って帰ると言う父を別れてずっと待っている春
尽くすほど追いつめているだけなのか言葉は君をすずらん畑
おだいじに、というメールが雪の日に届くメロンの絵文字とともに
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