硝子のボレット
 今月14日の記事、「歌集2冊をダウンロード(3)」で入手を報せた2歌集の内、田丸まひる「硝子のボレット」を読み了える。
 kindle unlimited版を、タブレットで読みながら、気になる歌をノートにメモしてゆくのだが(ハイライト機能がないので)、読み了えて引用分の丁度7首だったのは、愉快でまた危機感もあった事だった。
概要
 歌集の諸版の発行年次、価格などは、リンクで先の記事を読んでください。
 田丸まひる(たまる・まひる)は、1983年・生まれ。2011年、「未来短歌会」入会。2014年より、「七曜」同人。短歌ユニット「ぺんぎんぱんつ」としても活動中。
感想
 まず第一に、エロチックな歌が多い。あとがき「短い歌」の中で、「事実ではなくても真実を」と書くように、事実を述べたのではない。こうまで放埓な生を送ってはいないだろう。歌に出て来る「官能小説(女性向け?)」の読み過ぎかも知れない。
 職業は精神科医であるという。歌に頼り、性の歌をも詠まないと、仕事と生が持たないのだろう。
 しかし方向転換しないと、彼女の未来は明るくない。
 「ボレット」は「弾丸」の意であるという。
引用

 以下に7首を引く。
縫いつけてもらいたくって脱ぎ捨てる あなたではない あなたでもない
あたたかい言葉まみれの決別の手紙ちいさくちいさくたたむ
一生眠れる薬ほしがる女子生徒に言い返せない 夕立ですか
甘いもの好きな子どもが死にたがる世界に機関銃を野ばらを
窓開けてしよう向こうの国道のトラックにまで見せたい裸体
スプーンを使いこなしてわたしまですくい取るなら結婚してよ
ニーソックス片足立ちで脱ぎながらいつかわたしはぼろぼろになる