角川書店「増補 現代俳句大系」第13巻(1980年・刊)より、7番目の句集、磯貝碧蹄館「握手」を読み了える。
 今月8日の記事、
三橋敏雄・句集「まぼろしの鱶」に次ぐ。
概要
 原著は、1966年、遊墨社・刊。中村草田男「序にかえて」、467句、著者「あとがき」を収める。
 本著で、俳人協会賞を受賞した。
 磯貝碧蹄館(いそがい・へきていかん、1924年~2013年)は、川柳、自由律、口語俳句を通って、1954年に中村草田男「万緑」入会。1974年、俳誌「握手」創刊・主宰。
感想
 彼の句は、彼の生い立ち(父母の離婚、父の放浪死)や、戦後の紙芝居屋、郵便局集配員としての就職、昇進などと共に語られるという。
 戦後復興と共に、生活が安定して行ったのだろう。
 師・中村草田男の影響とはいえ、字余りの句が多い。表現を矯める(歪めるのではなく)事も、定型詩において必要と思う。
引用
 以下に5句を引く。
合歓咲くやつかみどこなき父の愛
四方の菊ひかりぬ母も髪結へよ
花咲く馬鈴薯勇気は常に妻より享(う)
芽ぐむ山々膝で旅する座棺の母
戦没学徒ら透明に群なし春塵駆く
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写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。