春戦争
 先の3月28日の記事、「歌集2冊をダウンロード(4)」で報せた内、陣崎草子・歌集「春戦争」kindle unlimited版を読み了える。
 Amazonの諸版の発行時期、価格等について、そこで述べたのでご覧ください。
概要
 昨日の記事、天道なお・歌集「NR」と共に、書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」の内の1冊である。
 陣崎草子(じんさき・そうこ)は、1977年・生まれ。大学美術科・卒業後、デザイン会社等に勤めるも、23歳で独立。
 絵本絵、絵本、小説、短歌を発表している。いわゆるフリーランサーか。
 歌集の巻末に、東直子・解説「生き延びるための覚悟」、著者・あとがき「以来ずっと」を収める。
感想
 20代の末に、穂村弘の短歌に衝撃を受け作歌を始め、2008年、歌人集団「かばんの会」入会。
 やや頼りない歌、頼りない生き方である。「こんなにもだれか咬みたい衝動を」と肉食系ながら、「この道がまちがった場所につづくこと」と結婚に行き着かない恋をし、生きゆく費用を算段したりする。
 「短歌は自己救済の文学である」と言われるから、力を与えてくれるけれども、無理な使い方をすると見放されるかも知れない。
引用

 以下に7首を引く。
こんなにもだれか咬みたい衝動を抑えて紫陽花の似合うわたしだ
どうやって生きてゆこうか八月のアイスクリームの垂れざまを見る
整理して出ていく誰もいない窓 なのに見送られているふりを
すっきりとした立ち姿を見てってよこれがあなたがたの生んだものです
この道がまちがった場所につづくこと知ってるぼくらのほどよい笑い
「思索型、と、いうらしい」関節の目立つこの手と長いつきあい
忘れたいことがあふれてくる夜更け首輪のにおいを嗅いでは祈る