角川「短歌」5月号
 先の4月26日の記事で、ダウンロードを報せた角川「短歌」5月号を、短歌作品中心に読み了える。
 「現代歌人特集シリーズ」の「馬場あき子」は、面白くなかった。新作50首は力作である。
 ただし総論、鼎談、2つの対談、「馬場あき子の言葉」8編なども、あまりに持ち上げすぎて、生前葬のようである。もっともこの特集で沈む、歌人ではないだろうが。
 巻頭作品では、道浦母都子「皇子と王子」28首が関心を惹いた。彼女の初期以外の作品を読んでいないので、ここへ至る道が偲ばれる。
 散文では、酒井順子「平安の女友達」が面白かった。菅原孝標女を、女友達のように扱って、紹介している。
 1首のみ引用する。小田裕侯の「冬青」7首より。
耐へ来しは吾より妻の多からんいつしか耳の疎くなりつつ
 なお今号で、角川「短歌」を離れようと思う。あまりの権威主義、守旧主義のせいである。電子版雑誌の読みにくさ故ではない。
 綜合歌誌を何冊も読むほど、資金も時間もない僕なので、本阿弥書店「歌壇」に戻るべく、既に同誌6月号をAmazonに予約した。