角川書店「増補 現代俳句大系」第13巻(1980年・刊)より、11番目の句集、飯田龍太「忘音」を読み了える。
 今月4日の記事、
上田五千石「田園」に次ぐ。
 また同・大系・第10巻に載る飯田龍太の第1句集
「百戸の谿」は、先のブログ「サスケの本棚」の、2015年12月9日の記事にアップした。
概要
 「忘音」の原著は、1968年、牧羊社・刊。355句、著者・あとがきを収める。同・句集により、読売文学賞・受賞。
 飯田龍太(いいだ・りゅうた、1920年~2007年)は、1962年、俳誌「雲母」主宰を父より継承していた。
 1992年6月、自ら「雲母」を900号で終刊、以後には俳句の発表がない。
感想
 3人の兄たちの病死・戦死により、飯田家を継ぎ、「雲母」を継いだが、俳句・俳誌への愛憎は深かったと思われる。
 この時期、時代的な事、継承の事で、やや句境が濁っていたように感じる。「きさらぎは薄闇を去る眼のごとし」など、僕には意味不明の俳句もある。
 後には、三省堂「現代俳句大事典」(2005年・刊)に引かれた例句のみだが、澄んだ豊かな句境を回復したようだ。
 没後、全集が刊行されている。
引用

 以下に5句を引く。
裸子のよろこびくだる秋の谷
餅を切る夕凍てのなほつのりつつ
ひとりゆく空耳山のすみれ草
抱へたる屑籠軽し閑古鳥
返り花落葉いちにち急ぐなり
0-72
写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。