堀米好美 いのち
 今年4月23日の記事「入手した6冊」で報せた内、堀米好美・歌集「いのち」を読み了える。
 Googleアナリティクスの本は別として(第4章までの基本を学べば良いらしい)、最後まで残った本である。
概要
 2016年9月30日・刊の歌集「祈り」(現代短歌社)に次ぐ。
 kindle版:2017年9月21日、22世紀アート・刊。定価:1,000円。
 kindle unlimited版:追加金無料。大手出版社ではない、独立系・出版である。
 著者は1936年・生。「短歌21世紀」「ヒムロ」会員。
 千一首の大冊で、読み通すのに難儀した。
引用と感想
 ハイライトとメモの利く歌集だったので、タブレットで線引きと感想メモを残し、それを7首のみに削って、以下にまとめる。

筆書きの子より受けたる御年玉仏壇にあり今朝も目にする
 前の歌も含めて、戸惑い、寂しがっている。気になって仕様がないのだろう。
原発も津波も遠き吾が丘もダム近くして崩壊危し
 災害の多い世になった。異常気象、地殻変動、人災など。
追ひつきて更に追ひつき凱旋の「なでしこジャパン」誇らしきかな
 簡単に諦めてはいけない。女性の地位向上も示していた。
暮れきたる庭に明るき黄のひかりニッコウキスゲの何時しか生ひて
 写生的で自然な、優れた1首だと思う。
彼の日より七十年か戦なき世を守りたる人ら老い来ぬ
 実感の籠もる反戦歌である。
離り住む父送りゆく九歳は背を見つめゐて吾に応へず
 息子の単身赴任だろうか、家族皆に苛酷な事である。
吾何を為すべき今か為し得るかいのち燃やさむ背筋なほ立つ
 老いの一徹である。敗戦の日を知る者として、「安保法」反対など、権力批判を繰り返し詠っている。