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 川上未映子の長編小説「ヘヴン」を読み了える。
 入手は先の9月21日の記事、
「頂いた本など9冊より(2)5冊」の、5冊目にアップした。
 9月18日の記事、「乳と卵」の感想に次ぐ。
概要
 講談社文庫。2017年・9刷。311ページ。
 初出は「群像」2009年8月号。単行本は、2009年9月、講談社・刊。
感想
 苛められる中学生「僕」と「コジマ」(女子生徒)の友情の物語である。苛める側の「二ノ宮」の凄惨さ、傍観者的に取り巻く知性派「百瀬」の無力さ、が描かれる。
 嬉しい時のドーパミン「うれぱみん」、悲しい時の「かなぱみん」、苦しい時の「くるぱみん」の造語が哀切である。
 「コジマ」は「苛められる」事をどんどん理論武装化し、遂には狂気に近くなる。「僕」は斜視の手術を受けて成功し、12月の木の葉の美しさを描いて巻末となる。「コジマ」はどうなるか。ある人は「人は一人一人、苦境から抜け出すしかないんだ。」と述べていた。夫婦の間は別として、と僕は思う。「コジマ」も機会を掴んで、苦境を脱け出るだろう。
 作家について。このように美しい純粋なストーリーを描ける娘さんが、今後どのようになるのだろうと不安を抱かせる。しかし、したたかに書き続けるだろう。