砂子屋書房・現代短歌文庫(27)「藤原龍一郎歌集」より、歌集「東京哀傷歌」を読み了える。
 今月13日の記事、
同「夢みる頃を過ぎても」に次ぐ。
概要
 この文庫には、歌集はこれら2冊しか収められていない(共に完本)。
 原著は1992年、砂子屋書房・刊。529首、後記を収める。
感想
 「日活ロマン・ポルノ」にもプロレスにも、思いの持って行きようがなかった僕は、一人でイデオロギーの自己解除を行っていた。持って行き場のあった者は、まして短歌に表現の場があった者は、幸いである。
 「東京哀傷歌」では、第1歌集の憂悶が弱まっている。いつまでも青春時代を引きずってもいられなかっただろう。
 「ああ」という端的な感嘆詞も少なくなったようだ。
 都市生活者の悲哀が身に沁みるようだ。僕は田舎へ帰ったけれども。
引用
 以下に7首を引く。
渋谷食堂チャプスイすする岸上の貧しき日々を眩みし夏を
躁鬱の鬱より躁へうつろえる薄明にして言葉愉しき
寒銀河いたましきまで冴えわたり明菜の難破船はも何処
立志に始まり屈志に終る平凡な私(わたくし)小説あらば読もうよ
感傷的傷痕として南沙織(シンシア)の「傷つく世代」「色づく街」を
業界の人なるゆえにスタジオで今日三度目の弁当食べる
遊戯的思考にすぎぬミッドナイト・レジスタンスはせつなき死語か
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。