角川書店「増補 現代俳句大系」第14巻(1981年・刊)より、9番目の句集、成瀬桜桃子「風色」を読み了える。
 今月4日の記事、
桜井博道・句集「海上」に次ぐ。
概要
 原著は、1973年、牧羊社・刊。安住敦・序、466句、著者・あとがき、火村卓造・解説を収める。
 成瀬桜桃子(なるせ・おうとうし、1925年~2004年)は、1946年、久保田万太郎「春燈」創刊に参加、万太郎・没後、安住敦・主宰に師事した。1988年、敦・没後、推されて主宰となる。2003年、病を得て辞した。
感想
 母、祖母との三人暮らしの成長、結婚して子がダウン氏症であったなど、不幸が重なったけれども、俳句と信仰(クリスチャンらしい)の力に拠って、生活して来たようだ。
 この子を「神の子」として慈しみ、多くの句を成している。
 母の死、縁薄かった父の死、に際しても哀悼の句を吟じている。旅の句もある。
 社会性、前衛性は薄いけれども、定型に収まった句が、読者の気持ちを落ち着かせる。
引用
 以下に5句を引く。
ででむしは葉裏に月日たち易し
五月闇蓬髪にはかに櫛折れて(万太郎先生急逝)
悴みて跼むにあらず禱るなり
不孝者ハンケチ忘れきて泣けり(母逝く)
秋のプール雲の離合をうつしけり
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写真ACより、「乗り物」のイラスト1枚。