同人詩誌「角」第48号
 若狭地方を主として、県内、県外の詩人を同人とする詩誌、「角」第48号を、ほぼ読み了える。
 到着は、今月6日の記事
「入手した2冊(4)」で報せた。発行日次、判型などについて書いたので、ご参照ください。
 また
同・第47号の感想は、昨年9月26日の記事にアップした。
概要と感想
 15名15編の詩、7名7編の散文を収める。
 巻頭、H・信和さんの「どんな空も 他」は、同時に創作している、俳句に余った作品だろうか。「2 つゆ草」の「グレーチングの隙間からでも/空は見える」は不運である。
 M・りょうこさんの「カラス」、Y・万喜さんの「小さな境涯」、共にリアリズムに似せながら、虚構が混じる。
 K・久璋さんの「鯉」に、「一日を生きるための/わずかな飢えを満たす/我欲我執が救いとなりますように」と書く。我欲我執が生きるわずかな支えとなる事は認めるけれども、因業を作品に吐き尽くして、欲のない心境で逝きたいと思う。
 N・としこさんの「つゆくさ」は、露草を「ととめ(魚の目)の花」と呼んでいる。<父さんが/よく これを切って/としこに 持たせていた>と、彼女自身には記憶がないかも知れないエピソードを描く。幼い時に、戦死した父を、70余年も偲び続けている。
 詩誌に散文が重きを置くのは、如何なものか。散文の方が、書きやすい時代だろうか。