角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、8番めの句集、石川桂郎「四温」を読み了える。
 先の10月17日の記事、永井龍男「永井龍男句集」を読む、に次ぐ。


 
 また2017年2月11日の記事に、同・大系第11巻より、石川桂郎「含羞」がある。


 石川桂郎(いしかわ・けいろう、1909年~1975年)は、家業の理髪店を1941年・廃業、総合俳誌の編集長を経て、食道癌で亡くなった。

 原著は、1976年、角川書店・刊。遺句集。515句(年代順)と長男の「あとがきにかえて」を収める。
 僕は1970年代が、よくわからない。初めは囲碁に没頭し、帰郷して職を転々、1977年についの就職、1978年に結婚、1979年に一人子・誕生と、文学に目を向ける余裕がなかった。

 「含羞」では、貧しい家庭の温かみがある、と書いたけれども、終生を家族に貧しい思いをさせてはいけない。また自分一人は美食家であったという。
 僕は結婚後、現場職で落魄感に耐えながら勤め続け、再任用3年めで退職した。彼は甘かったと、後世の名誉はどうあれ、僕には言える。


 以下に5句を引く。
声寒く無心す家賃四年溜め
植木屋の無口めでたし松落葉
にんにくを薬の食や冬ぬくし
意地汚しと言はるるも鯰煮て
粕汁にあたたまりゆく命あり
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。