岩波文庫のアストゥリアス「グアテマラ伝説集」(牛島信明・訳)より、2回めの紹介をする。
 同(1)は、先の11月23日の記事にアップした。

 

 今回は、「「火山」の伝説」、「「長角獣」の伝説」、「「刺青女」の伝説」、「「大帽子の男」の伝説」、4編を読み了えた。

 「「火山」の伝説」は、楽園が火山噴火によって滅び、英雄ニドに依る国始めの物語のように受け取れる。
 「「長角獣」の伝説」と「「大帽子の男」の伝説」は、征服者による虐殺と略奪と信仰強制のあと、征服が安定期に入った頃の、尼僧修道院の尼僧と、修道院の僧の物語である。信仰の試練の物語と言える。心理描写と外形描写は、マジック・リアリズムらしく、シュールな場面を交える。
 「「刺青女」の伝説」は、インディオの神官、アルメンドロ博士が、4つに分け与えた自分の魂を、買い戻そうとして果たさず、ある奴隷女を救って枯れ枝として死ぬ。迫害されたインディオの魂を描くのだろうか。
 シュールな幻想を含む、民族の根底的な物語である。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。